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ヘンデル :ソナタ ト短調 HWV 580

Händel, Georg Friedrich:Sonata g-moll HWV 580

作品概要

楽曲ID:6859
作曲年:1707年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:2分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (634文字)

更新日:2024年6月17日
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多くのシークエンスがあるソナタです。そのシークエンスがハーモニックシークエンスと考えられても、あるいは実際の転調と見なされたとしても、曲そのものがかなりゆっくりと進みますので、その度に、音色や音量の変化が必須となります。

例えば1小節目、悲しげなg-mollのテーマが始まりますが、3小節目(2小節目のシークエンスとも取れますが)、一時的にB-durに転調したとも考えられます。いずれにせよ、3小節目は1小節目とは全く異なった音質と音量を与えるようにします。

6小節目3拍目に現れる右手のcisもショッキングな音で、それなりの表現が欲しいです。そしてそれは8小節目で完全にd-mollとなります。この8小節目が分岐点になり、ここからシークエンスが始まり、曲は上行してテンションが上がっていくのですが、そのままB-durに転調し、13小節目でB-durのカデンツとなります。ここが次の分岐点です。

ここから更に、上行形シークエンスが始まり、調は目まぐるしく変わり、18小節目でg-mollのカデンツを迎えます。そして最後は偽終止という、実に興味深いソナタです。

アイデアとして、どちらかと言うとホモフォニーに近い書き方で、伴奏の上にメロディーが乗せられています。メロディー部分を歌と考えるか、器楽と考えるかは奏者の自由ですが。ある程度の即興性が求められ、あまりにもメトロノームのように進むのも味気ないかもしれません。音価を理解した上で、少しタイミングを崩してみると良いでしょう。

執筆者: 大井 和郎
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