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リスト :幻想曲(ワーグナーの「リエンツィ、最後の護民官」からの主題による) S.439 R.272

Liszt, Franz:Phantasiestück ("Rienzi, der Letzte der Tribunen" Wagner) S.439 R.272

作品概要

作曲年:1859年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:リダクション/アレンジメント
総演奏時間:9分00秒

解説 (1)

執筆者 : 上山 典子 (1087文字)

更新日:2015年3月18日
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ワーグナーの初期の出世作≪リエンツィ、最後の護民官≫は、5 幕からなる伝統的なナンバー・オペラで、1842 年 10 月 20 日に作曲家自身によってドレスデンで初演された。この初演から 2 年後の同じくドレスデン上演で初めてこの曲を聴いたリストは、その後ワイマール宮廷楽長時代(1848-59 年在任)に同作品の上演を画策するもなかなか実現には至らず、楽長辞任後の 1860 年のクリスマスになってようやく全曲上演にこぎつけた。

編曲は 1859 年に取り組まれ、翌年 12 月 2 日付のワーグナー宛の手紙で、次のことが伝えられた――①《オランダ人より糸紡ぎの歌》の編曲と共に、《リエンツィ》が完成したこと、②ハンス・フォン・ビューロー(1830-94)が演奏会でこれらの曲をひいて大成功を収めたこと、③完成した編曲は、ワーグナーのオペラと同じドレスデンのメーザー社から出版予定であること。

しかし何らかの理由でメーザー社からの出版は実現せず、楽譜は 1861 年 7 月 17 日付でライプツィヒのブライトコプフ ウント ヘルテル社宛に送付され、翌 62 年に出版された。

その際の自筆譜は現在、ワイマール古典主義財団の資料館「ゲーテ ウント シラー アルヒーフ」に所蔵されている(整理番号:GSA 60/ I53)。

タイトルに含まれる「ファンタジーシュテュック(幻想曲)」の通り、また現代のヴィルトゥオーソ・ピアニストにしてリスト研究者のケネス・ハミルトンが、これは「編曲というよりもむしろオリジナル作品」(Hamilton 2009)と評したように、《リエンツィ》の編曲ではリストの自由な扱いが顕著である。オペラの様々な場から旋律を借用し、いくつかの場面をつなぎ合わせて一つの曲を組み立て上げるというその編曲手法は、リストがコンサート・ピアニストとして活動していた 1830~40 年代に多く生み出したオペラ・ファンタジーと類似しており、編曲者による創作の度合いが極めて高い。

第1-26小節は第3幕第1場と 3場より「リエンツィの戦の叫び(“Santo Spirito cavaliere”)」で原曲と同じ変ロ長調、第 27-97 小節は第 5 幕第 1 場冒頭から「リエンツィの祈り」の主題変奏で同じく変ロ長調、そして第 98 小節からは第 1 幕第 1 場冒頭の行進曲、ニ長調となっている。ピアノの鍵盤を縦横無尽に駆けめぐり、オクターヴ増補で音量を拡大させるなど、《リエンツィ》は聴覚的にも視覚的にも聴き手を楽しませる技巧が満載の「ファンタジーシュテュック」である。

執筆者: 上山 典子
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その他特記事項
ワーグナーの歌劇『リエンツィ』からの編曲、パラフレーズ。