1928年作曲。山田はこの曲の他にもスクリャービンが多作した「ポエム」と題のつく作品、「彼と彼女 七つのポエム」「若いパンとニンフ 五つのポエム」「日記の一頁 プチ・ポエム集」を作曲しており、スクリャービンへの傾倒ぶりが窺い知れます。山田のピアノ作品の中では後期に位置し、当時の前衛音楽の影響が見られる作風です。
''delicatissimo e misteriosamente''と書かれた冒頭は、半音の進行でできており、非常に柔らかな音色でしなやかに始めたいところです。小袖で顔を隠しながらそろそろと登場するような、そんな舞踏の仕草をイメージしてみるのもよいかもしれません。他にも、例えば4小節目、8小節目のゲネラル・パウゼで動きが止まる様子や、5小節の上行形の流れるような装飾音から弾むリズムへの一連の動きなど、リズムを主体として音楽と舞踏の一体化を理想とした「舞踏詩」を考案した山田らしい描写を、生き生きと表現されると良いと思います。