深い悲しみを感じさせるような、宗教的な色合いをもったリスト晩年の小品。

リストは晩年に、独自の音階や和声を用いて、調性からの離脱を試みる実験を続けていた。この《暗い雲》も、《調のないバガテル》と同様、そのような実験的作品の一つである。後の無調音楽を先取りしているかのような、前衛的な作風をもつ。

タイトルと同様に、曲全体は陰鬱な雰囲気に満ちている。

1881年の作品であるが、出版は1927年。