作品概要
解説 (1)
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部
(1043 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (1043 文字)
唯一完成されたピアノ協奏曲。それまでたくさんのピアノ独奏曲や歌曲を書きつづけたシューマンであったが、1838年には自ら「ピアノは私にとってあまりに窮屈になってきた」と語り、前後にも4つの「交響曲」をはじめ数々のオーケストラ作品を残した。さてこの曲は第1楽章が1841年、第2、3楽章が1845年の作曲だが、ロマン派の他の多くの協奏曲がピアノにあくまでもきらびやかなヴィルトーゾ性を追及させることを最優先しているのとは少々異なり、時にはピアノがオーケストラの伴奏を受け持ったり一つのメロディーをかけあったりと、ピアノを多分にオーケストラ楽器の一つとして扱っているところに、後にたくさん残した素晴らしい室内楽曲の予兆を感じられる。
第1楽章:短いオーケストラによるドミナントの投げかけにピアノが連続する下降和音で答え、極めてドラマティックに幕をあける。第1主題はまずオーボエによって一度きいたら忘れられないメランコリックなテーマが奏でられ、すぐにピアノによって模倣される。そのあとメロディーは再びオーケストラに移り、長い駆け引きの後第1主題を発展させた第2主題が現れる。ここでもはじめピアノは管楽器によるメロディーの伴奏を受け持つが、このアルペジオによる伴奏形が実はかなりの超絶技巧である。展開部ではテンポ標示が「Andante」に変わり、思いがけない変イ長調で再び第1主題のモティーフが現れる。その後は突然冒頭の下降音型がオーケストラとの掛け合いで最高潮まで盛り上がったところで第2主題の発展型に続き、落ち着いたところで再現部を迎える。もともとこの楽章は作曲された時期的にも構成的にも独立した楽曲として構想されたと思われる。
第2楽章:Intermezzo 「間奏曲」という題にふさわしい短い楽章である。軽く愛らしい主題がピアノとオーケストラの掛け合いで進み、中間部は一転してチェロによる朗々としたメロディーをピアノが伴奏し、間合い的にピアノによるカデンツが挿入される。第1楽章のモティーフの後はそのまま第3楽章に突入する。
第3楽章:打って変わってイ長調の明るいホルン五度のテーマがここではピアノによって奏され、オーケストラが伴奏する。
途中でピアノが本来の三拍子、オケがヘミオラで掛け合いアルペジオを主体とした軽いピアノソロに続くが、これがまたくせもので軽さと和声進行をはっきりきかせるのは至難の技である。コーダはサブドミナントで余韻を残すように始まり、最後は華々しく分散オクターブで終わる。
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