コントルダンスは、2組の男女が向かい合って踊るフランスの舞踊。イギリスの民族舞踊であるカントリー・ダンスに由来する。フランスでは17世紀から18世紀初頭に栄え、後にカドリーユと呼ばれる舞踊へと変化した。コントルダンスはフランス宮廷に伝わったが、宮廷のみならず舞踏会や町の結婚式、宴会など多くの場所で踊られた。コントルダンスの音楽は通常2部ないし3部から成り、生き生きとしたテンポである。踊り手のポジションに従って、これらの部分は「エテ(夏)」「パストゥレル(牧歌風)」「トレニ/トレニック」、「シャス・クロワゼ」などの異なる音型が用いられる。
ショパンの作品は、コントルダンスがまだ流行していた1827年に作曲され、彼の没後1934年になってから初めて出版されたが、偽作の疑いがある。ショパンの友人であるティトゥス・ヴォイチェホフスキに捧げられたのではないかと考えられているが、真相は不明。ト長調、8分の6拍子、アレグレット。変ハ長調のトリオを持つ3部形式である。全体を通して概ね4小節を1フレーズとする。強拍に付されている装飾音や、付点のリズムによって、主題は躍動感あるものとなっている。一方、中間部はメロディーラインが著しく跳躍し、音域が広がることで迫りくるような重みが加わる。わずか8小節で表情を変えた後、軽やかな主題へと回帰する。