作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(1326 文字)
更新日:2021年7月13日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1326 文字)
技術は簡単な曲ですが、音楽的な難しさがあります。強弱の変化はあまりなく、p pp. mFの3種類しか楽譜上には書かれていません。冒頭には、Quietly(静かに)という指示があります。それらの理由から、強弱は平坦になりがちな曲で、その限られたダイナミックの中でどのように聴かせていくかが伴となります。
1ー8小節間で、5ー7小節間が最も強弱の大きな部分かもしれません。左手は1小節目から徐々に下行していきます。方向性を感じさせる演奏が望ましく、テンションを緩めることなく7小節目に (恐らくこの小節が1ー8小節間では最も大きい)向かってください。ただし、これはpやppから始まり、膨らんでもmFが最大です。決して大きすぎたり、アジタート気味になったり、テンポを押して前に前に進めて聴いている人たちを圧迫しないように注意してください。
9ー12小節間は調が変わります。異なった音質で弾くようにします。
13小節目、ritが書いてあるからといって、右手の16分音符があたかも8分音符に聞こえるほど遅くしすぎてはいけません。気をつけましょう。
さてこれが全体の流れですが、これから少しメロディーラインのシェーピング(形取り)について考えてみましょう。1小節目をご覧ください。2拍目に4分音符のE、3拍目に2分音符のEがありますね。例えばこの2つを比べたとき、どちらの音がより大きいでしょうか?
2小節目を見ると、2拍目と3拍目の音は異なっていますね。これであればそこまで平坦さは出ないのですが、1小節目のように、同じ音が繰り返される場合、その2つの音を同じダイナミックで弾いてしまうと平坦に聞こえます(硬く聞こえます)。どちらかがどちらかより大きくなるか、 ちいさくなるか、試してみてください。3小節目、1ー2拍間のメロディーと3ー4拍間のメロディーは、伴奏も含めて全く同じです。このように2つ、同じ事が起きるときは2つを同じように弾かないで、必ず何らかの手段を用いて2つのユニットを異ならせましょう。
例えばですが、筆者であれば、3小節目1ー2拍間よりも3ー4拍間の方を少し1ー2拍間よりも大きく弾き、4拍目のHを3拍目よりも大きくします。理由は2つあります。1つは方向性を聴かせることができるからです。もう一つは、4小節目の最初のメロディー音である、1拍目のAは、クレシェンドの途中の音でもあるのですが、和声的に3小節目4拍目のテンションが解決される音でもあります。
故に、3小節目の最後の音Hに対してある程度の音量を与え、4小節目のAは前の音のHよりも小さく弾きます。そのあとで、クレシェンドをかけるとスムーズに行きます。
5小節目からは1小節目同様同じメロディーが再び繰り返されるわけですが、そのように考えると3小節目と7小節目は同じ場所であると考えます。この2つの小節を比べたとき、3小節目は1ー2 拍間と3ー4拍間は同じですが、7小節目の場合、左手の和音が異なりますね。7小節目は、1ー2拍間よりも、3ー4拍間の音量をぐっと落としカラーを変えます。そうすることでテンションは取れ、8小節目にスムーズに入り込めます。ご参考まで。
解説 : 今関 汐里
(170 文字)
更新日:2021年3月1日
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解説 : 今関 汐里 (170 文字)
4分の4拍子、イ長調。A(1〜8小節)ーB(9〜12小節)ーAの3部形式。4小節ごとで小さなまとまりを作っている。2拍ごとに下行する伴奏音型の上で、素朴な旋律が奏でられる。B部分では平行短調の嬰へ短調へと転調する。2拍ごとに変化する和声の微妙なニュアンスに気をつけながら右手の1拍目の16分音符が濁らないよう、ペダルの踏み方にも注意したい。
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