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別宮 貞雄 :ピアノ協奏曲

Bekku, Sadao:Piano Concerto

作品概要

作曲年:1980年 
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:協奏曲

解説 (1)

解説 : 小室 敬幸 (1130文字)

更新日:2018年4月21日
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1. Moderato(=ca.40)-Allegro moderato (=ca.60) 2. Lento(=ca.40) 3. Allegretto(=ca.76)

別宮貞雄は生涯に4つの協奏曲を書いたが、 ピアノ協奏曲はそのうち3番目の作品。日本交 響楽振興財団の委嘱により、1979~81年にかけて作曲。1981年4月23日に中村紘子のピア ノ、尾高忠明指揮の東京フィルハーモニー交響楽団によって初演された。1997年に改訂が施され、神谷郁代のピアノ、若杉弘指揮の東京都交響楽団によって録音されている。

作曲者自身、「ピアノ協奏曲を“人を幸福にする音楽”だと旧知のピアニストK女史に云われて大変嬉しかった。“いい音がする”とか “立派に構成されている”などとほめられるより、ずっと嬉しかった」と語っているのが本作の特質を物語っているだろう。第1楽章と終楽章がド-ミ♭-ソの和音で終わっていることからも、ハ短調を主調としているように思えるのだが、実際に主調として機能しているのはヘ短調である。

 第1楽章は序奏付きのソナタ形式。冒頭で低弦によって提示されるモチーフが第1主題を予兆し、練習番号4からテンポが変化するとピアノ独奏によってヘ短調の第1主題が提示される。下行を基調とする第1主題に対置されるのは、練習番号13からオーケストラによってハ短調で提示される上行を基調とした第2主題だ。その後、練習番号19からピアノが奏で るコラール風の楽想も新たな主題のように思えるが、実際は第1主題を変容させたものである。練習番号23でテンポがAllegro moderato に戻るところから展開部がはじまる。練習番号36からピアノのカデンツァとなるが、ここから再現部がはじめられている(このことについて、 別宮自身が著書のなかで「独自の工夫」として挙げている)。練習番号46から第2主題がヘ短調で再現され、練習番号52からのコーダで華々しく 盛り上がると、最後は突如として変ホ短調からハ短調に転じて終わりとなる。

第2楽章は3部形式による緩徐楽章。ニ長調ではじまり、オーケストラとピアノがダイアローグを繰り広げる。練習番号59で楽想が転じて音楽が動き始めるも、練習番号66からは再び最初の主題が回帰する。練習番号69から雲行きが怪しくなり、次の楽章へと切れ目なく繋がってゆく。

第3楽章は、ロンド形式ともソナタ形式とも言えない自由な構成をとる。ピアノ独奏によりヘ短調で提示されるシンプルな主題が核となり、様々な調性に転じる合間に、他の主題が挟み込まれてゆく。この楽章でもやはり最後は、残り6小節の時点で急にハ短調のドミナントが鳴り響き、ハ短調の主和音で幕を閉じる。

執筆者: 小室 敬幸
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