ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第22番 Op.54 ヘ長調
Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.22 F-Dur Op.54
執筆者 : 齊藤 紀子 (441文字)
献呈先は無し。2楽章構成となっている。
第1楽章は4分の3拍子で、すべての主題がヘ長調で提示される。イン・テンポ・ドゥン・メヌエットと記されており、ロンド形式ともソナタ形式とも捉え得るが、どちらにしても変則的である。そして、すべての主題がヘ長調で提示されるところが特徴となっている。ソナタ形式と捉えた場合、メヌエットの性格を持つ第1主題とオクターヴによる第2主題とは、強弱、モティーフの長さ、使用する音域の点で、多様に変化(第1主題)するかほぼ一定(第2主題)であるかといったことが対照を成す。
第2楽章もヘ長調で、アレグレットの4分の2拍子である。この楽章も3部形式ともソナタ形式とも捉えることができ、やはりどちらにしても変則的である。特に、ソナタ形式と捉えた場合、単一主題によるソナタ形式ということになる。
このように、形式の自由さ、1楽章における主題を提示する調の一定性などから、20曲を超えるピアノ・ソナタを作曲したところでベートーヴェンが新たな試みを行っていることがうかがえる。
第1楽章
総演奏時間:5分00秒
動画(1)
解説(1)
楽譜(2)
第2楽章
総演奏時間:5分30秒
ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 全楽章
ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 第1楽章
ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 第2楽章