1915年から1918年にかけて作曲され、親友のマヌエル・ブランカフォルトに献呈された。子供らしいまっすぐで繊細な心模様が、シンプルな書法と澄み切った音色、デリケートな和声をもってうまく表現されている。フランスの音楽評論家エミール・ヴュイエルモーズはこの曲をもって、モンポウを「ドビュッシーの後継者」として高く評価した。演奏標準時間は約9分30秒、全曲通して奏されるのが一般的。
1.街路での叫び / No.1 "Cris dans la rue":調号、拍子記号はかかれていないが、ハ長調、4分の3拍子。左手には小節線がほとんどかかれていない。「楽しく」。冒頭から平行音程による響きが明るく響く。この響きは曲の途中でも印象的な響きをもたらしている。途中には〈商人の娘〉という美しく優しい民謡が用いられている。これは再び終曲にもあらわれる。
2.浜辺の遊び / No.2 "Jeux sur la plage":エオリア旋法、4分の3拍子。「生き生きした」。冒頭のCri(叫び声)と記された不協和音は、子供たちのはしゃぐような笑い声を描写しているようだ。繰り返される単調なリズムは、夢中になって繰り返し遊ぶ子供たちの姿を思わせる。長音で記された音符が曲のテンポを静かに支えている。
3.遊び / No.3 "Jeu":8分の6拍子、嬰ト音からのエオリア旋法風、「生き生きした」。Cri(叫び声)と記された冒頭部は、不安を誘うような増4度音程からはじまる。左手で繰り返される4分音符とともに、右手で円を描くように音楽は進む。トレ・ヴィフ「とても生き生きした」では、左手によって拍子感が変化し、それによって再び静かな「叫び声」へと導かれていく。
4.遊び / No.4 "Jeu":調号、拍子はかかれていないが、およそホ短調、8分の3拍子。冒頭のCriは「口笛」を表している。減5度の響きが不安に響いた後、乱れる心のような音型が「生き生きと」奏される。この口笛の部分と「生き生きと」奏される部分が対照的に配置されている。中間部は悲しげな歌が静かに奏される。テヌートの部分は問いかけるように、悲しげに。
5.庭のおとめたち / No.5 "Jeunes filles au jardin":調号はないが、およそホ短調。拍子は4分の3拍子にはじまり、細かな変化をみせる。ゆったりした曲調は子供というよりどこか大人びたおとめたちを想像させる。繊細で優しく、穏やかで暖かい曲の雰囲気が魅力的だが、その中で駆け上がっては降りる華やかな響きが映える。一曲目で用いられた民謡〈商人の娘〉が再びきかれる。