ベートーヴェン :ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」 第1楽章 Op.73

Beethoven, Ludwig van:Konzert für Klavier und Orchester Nr.5  1.Satz Allegro

作品概要

楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:協奏曲
総演奏時間:19分00秒

解説 (1)

解説 : 鐵 百合奈 (420文字)

更新日:2019年10月6日
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Allegro 変ホ長調 4/4拍子

協奏ソナタ形式を踏襲しながらも、斬新な構想を多く持つ大規模な楽章。独奏ピアノのカデンツァ風の導入がオーケストラ総奏との対決のように編まれる。第11小節~オーケストラが威厳のある第1主題を始め、第2主題を同主調(第41小節~)と主調(第49小節~)で奏でる。第1主題の素材による推移(第57小節~)の後、対位法的なコデッタ(第78小節~)に導かれ、独奏楽器が現れる。ピアノソロによる第1主題は、装飾的な変奏が施された上に優しい曲想に変化しており、ピアノソロが高音域で奏でる第2主題は、浄化された天上の響きを思わせる。推移部に現れるピアノソロの下行音型(第217小節~)も、清流の水音のような清らかさを持つ。冒頭のような勇壮さは展開部のクライマックスで姿を見せ(第304小節~)、ここにベートーヴェンの反骨精神、反戦精神を見ることができるかもしれない。再現部の手前のピアノソロで、祈りが天に昇って消えていく。

執筆者: 鐵 百合奈