シューベルト :ピアノ・ソナタ 第1番 第2楽章 D 157,154
Schubert, Franz:Sonate für Klavier Nr.1 Mov.2 Andante
解説 : 髙松 佑介 (372文字)
アンダンテ、ホ短調、8分の6拍子
物憂げな舟歌。長調作品の緩徐楽章として短調の舟歌を置くという構想には、W. A. モーツァルトの《ピアノ協奏曲イ長調》K. 488という有名な先例がある。
本楽章はABA’CA’’という、三部形式を拡大した構造を持つ。A部はホ短調て提示され、平行調であるト長調の優美なB部に続いて、リズム上の骨格に還元された主部が主調で回帰する(A’部)。C部は、コントラスト豊かなハ長調である。動きの少ないA部に対して、B部とC部の両中間部は、十六分音符の動きに特徴づけられている。そしてA部が最後に回帰すると、これら両中間部のリズムが伴奏音形にあらわれる。すなわち、再現された冒頭の旋律を支えるA’’部の左手は、常に十六分音符で刻んでいるのである。このように、本楽章では末尾において、主部と両中間部の一種の統合が行われている。
ピアノ・ソナタ 第1番 第2楽章
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