ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第26番「告別」 第3楽章 Op.81a
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.26 "Lebewohl" 3.Satz Vivacissimamente
作品概要
解説 (2)
解説 : 岡田 安樹浩
(749 文字)
更新日:2019年2月16日
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解説 : 岡田 安樹浩 (749 文字)
(第3楽章)変ホ長調 8分の6拍子 ソナタ形式
[序奏+提示部]
変ホ長調の属七和音によって決然と開始されるフィナーレは、ソナタ形式によっている。10小節にわたって延々と属七和音の分散和音による序奏が続き、主部でようやく主和音に至る。主要主題(第11小節~)は拍頭を刻む和音と八分音符の分散和音からなる。装飾をともなって2度確保されると、和音の連打と分散和音のffに到達する。
副次主題は主調の属調である変ロ長調で提示され、すぐに確保される。2度下降の動機と上行音階パッセージによってコデッタを駆け抜けると、反復記号によって主部がくり返される。
[展開部+再現部]
まず主要主題の断片が変ホ短調であらわれ、平行調の変ト長調を経由し、異名同音への読み替えを駆使してロ長調で副次主題があらわれる。さらに同主短調のVI和音を介してト長調にて副次主題の動機があらわれ、これが主要主題の動機へと変化する。ハ長調からハ短調のVI度和音を経て変ホ長調に戻り主要主題がオクターヴ奏であらわれ、再現部となる。
主要主題が提示部とは異なる伴奏形であらわれ、やはり異なる伴奏形で1度だけ確保されてffの和音連打に到達する。副次主題も主調の変ホ長調であらわれ、外形としては古典的なソナタ形式を保持しているが、この後に主要主題の再提示ともいえる終結部が置かれる。
[終結部]
Poco Andanteに速度を落としたコーダは、主要主題が主部冒頭と同様の形で再現され、再現部において大きく変形して再現された主要主題の再提示とも思える。
主要主題の分散和音動機が執拗にくり返され、ppでドミナント上にフェルマータで留まると、突如冒頭のテンポにもどり(Tempo Iおよびfの指示)、主和音の連打とオクターヴ・トレモロ奏によって決然と楽曲を閉じる。
演奏のヒント : 大井 和郎
(554 文字)
更新日:2025年10月9日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (554 文字)
とても楽天的な発想の第3楽章です。喜びに満ちた楽章と考え、生き生きとした演奏が望ましいです。しかしながら、技術面は結構難しく、ある程度のテクニックが必要になります。これから述べる事は、この第3楽章を弾く際に起こりえる典型的な問題です。確認してみて下さい。
この第3楽章のテンポは一貫して1つとし、場所によってテンポが遅くなったり速くなったりしないようにします。速くなってしまう典型的な部分は、37小節目からのように、4分音符しか書かれていない小節がずっと続くセクションで、このような場所ではテンポが前のめりになりがちです、常に6/8を数えて先に進んで下さい。
逆に、テンポが遅くなってしまう典型的な部分は、59小節目や、66小節目の様に、音符が多く入り込む部分です。どんなに音符が多く入り込んでも、基本的なテンポを崩さないようにして下さい。
この楽章で唯一テンポが変わるのは、177小節目からのpoco andante です。ここ以外はテンポを変えないようにします。最後の195〜196小節間も決してritなどをかけないようにして下さい。
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