ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第17番「テンペスト」 第3楽章 Op.31-2
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.17 3.Satz Allegretto
作品概要
解説 (2)
解説 : 岡田 安樹浩
(508 文字)
更新日:2019年1月14日
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解説 : 岡田 安樹浩 (508 文字)
第3楽章 ニ短調 8分の3拍子 ソナタ形式
(提示部)
主要主題はプレリュード風とでも言って良さそうな、16分音符の連鎖によって音型化されたテクスチュアによって切れ間なく続く。拍節のずれと2拍子的な特徴をもち、第1楽章と通底した2度下降動機による副次主題(第43小節~)は属調のイ短調であらわれ、オクターヴによって確保(第51小節~)される。
(展開部+再現部)
展開部(第95小節~)ではもっぱら主要主題の音型のみが扱われる。テクスチュアの連鎖によってひたすら転調が繰り返される。まずト短調にはじまり、イ短調、ニ短調、ハ短調、変ロ短調へ至る。変イ長調を経て再び変ロ短調にて主要主題があらわれる。これがさらに、ニ短調の属和音上に展開され、ヘミオラの単旋律パッセージによって再現部(第215小節~)が準備される。
両主題が主調のニ短調であらわれた後、やはり拡大されたコーダ(第323小節~)がこのソナタを締めくくる。主要主題の音型化されたパッセージによって、ト短調、イ短調を経由し、ニ短調で属音を強調した形の主要主題が回帰する。提示部においてあらわれた急速な半音階下降を経て、音型の連鎖の中、主和音の分散下降で楽曲を締めくくる。
演奏のヒント : 大井 和郎
(605 文字)
更新日:2025年10月9日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (605 文字)
語らなければならないことは多過ぎるのですが、まずは曲を理解することから始まります。例えば、1小節目、左手の書法をご覧下さい、バスが16分音符で書いてあって、すぐ次のAに上行しています。そしてそれが繰り返されます。弦楽4重奏と考えた時、チェロなどの楽器がこのバスの部分を担当すると考えます。あるいは、バスは、Dのみで、Aは、ヴィオラが担当しているかも知れません。多くの奏者はペダルを1小節分踏み続けて演奏します。それが良いか悪いかはさておき、この楽譜の書き方をよく考えてみて下さい。
この楽章はタイミングも命です。アレグレットですので、決して速く無いです。そして、22小節目、27小節目などの右手4分音符のところで時間を取らないこと。ここにはフェルマーターも何もありません。正確に数えて下さい。
方向性も重要です。43〜47小節間、87〜90小節間等、強弱が平坦になりがちです。いつでも方向性をもって進んで下さい。
ペダルを多用しないこと、テンポを速くしすぎないこと、強弱が平坦にならないように方向性を持つこと、タイミングは正確に数えること、3拍子で書かれていますので3拍子を感じて演奏すること、弦楽4重奏として考えてみること、等が重要です。
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