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ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第17番「テンペスト」 第2楽章 Op.31-2

Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.17 2.Satz Adagio

作品概要

楽曲ID: 30715
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:8分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:3件
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解説 (2)

解説 : 岡田 安樹浩 (236 文字)

更新日:2019年1月14日
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第2楽章 変ロ長調 4分の3拍子

第1楽章のニ短調に対して、VI度調にあたる変ロ長調をとる。主和音の分散和音上行による開始は、誰しも第1楽章の冒頭を思い起こすことだろう。

複付点リズムによって特徴づけられた主調の主題と、断続的な属音のトレモロを伴奏とする属調(ヘ長調)の主題(第22小節~)をもち、後半(第43小節~)で両主題が主調再現するというソナタ形式的な調性構造に基づいた2部分形式をとっている。この再現部分では、最初の主題は32分音符の分散和音を伴って変形されている。

執筆者: 岡田 安樹浩

演奏のヒント : 大井 和郎 (863 文字)

更新日:2025年10月9日
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絶大なる美しさを持つ第2楽章で、知られすぎている部分もありますが、注意点を2点述べます。

1つ目は、装飾音の入れ方です。レコーディングやその他の音源を聴きますと、様々なトリルやターンの入れ方があり、よってリズムも変化してきます。これらの問題に直面した時は、とにかくまず、装飾を外して弾いて見ることをお勧めします。例えば、8小節目1拍目の右手、トリルを外して弾いてみると、シンプルに、C DC C である事がわかります。このリズムを崩さずに、装飾を入れます。10小節目、同じくターンを外してみます。そうして、32分音符から次の4分音符へのタイミングを狂わせること無く、ターンを入れるようにします。これらの装飾音を入れることで、基本的なリズムが狂わないようにして下さい。

2つ目は、強弱記号の話です。スフォルツアンドに関しては、いつも述べているとおり、これは「その音だけ特に強く」と学んでいる人が大変多くいます。実際には、「その強弱の範囲内で少しアクセント」が正しい理解の仕方です。つまりは、フォルテのセクションにスフォルツアンドが書いてあればかなり大きい音なのですが、pのセクションにスフォルツアンドが書いてあったときはほんの少しだけアクセントを付けるという解釈で理解して下さい。故に、例えば、6小節目3拍目はフォルテではありません。少しだけアクセントが付くだけです。

同様に、フォルテと書かれているからと言って、突然、サプライズのようなフォルテを出す奏者がいます。例えば、15小節目2拍目。ベートーヴェンの交響曲を聴いた時、この様なムードの楽章に、とてつもないフォルテが響くことを聴いたことがありますか?これは少し大きめにという意味で、突然鳴り響く強いフォルテではありません。編成的に考えても、突然、tuttiが入ってくるような場所では無い事は明らかです。

執筆者: 大井 和郎