ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第10番 第1楽章 Op.14-2
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.10 1.Satz Allegro
作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:8分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:応用7 発展1 発展2 発展3 発展4 発展5
楽譜情報:2件解説 (2)
解説 : 岡田 安樹浩
(652 文字)
更新日:2019年2月16日
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解説 : 岡田 安樹浩 (652 文字)
旧来このソナタは《ホ長調ソナタ》Op.14-1と時期を交差して作曲されたと考えられていたが、近年ではこれが完成した直後から着手され、1799年夏頃に完成したと考えられている。
(第1楽章)ト長調 4分の2拍子 ソナタ形式
[提示部]
主要主題は4度下降+短2度上行という性格的な動機とシンコペーション・リズムの動機からなる。この性格的な動機は、Op.14-1第3楽章におけるロ長調の主題にもみられる。主題の確保は省略されており、終始和声的なアルペジオ伴奏をともないながら、属音(二音)の同音反復、主要主題におけるシンコペーション・リズムの拡大形によって副次主題へ推移する。
ニ長調で提示される副次主題(第26小節~)は、付点リズムと3度重音の2度下降動機からなる。提示部はリピート記号によって反復される。
[展開部+再現部]
まず主要主題をト短調あつかうが、すぐに副次主題が変ロ長調であらわれる(第74小節~)。展開部において副次主題があらわれるのは、初期のベートーヴェンのソナタの中ではこれがはじめてである。
付点リズムを反復した後、上声の16分3連音符によるアルペジオ伴奏をともなって低声部で主要主題の性格的な動機が展開される(第81小節~)。再び主要主題があらわれ、調性は変ホ長調となる(第99小節~)。32分音符による音階パッセージを経て、主要主題の短2度上行動機が繰り返されて(第115小節~)再現部に至る。
主要主題、副次主題ともに主調であるト長調で再現され、最後に主要主題がもう一度あらわれて楽章を閉じる。
演奏のヒント : 大井 和郎
(1612 文字)
更新日:2019年12月20日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1612 文字)
田園的な平和なイメージを持つ第1楽章です。最初のソナタから約3年が経過してこのソナタが書かれましたが、弦楽器のアンサンブルを思い起こさせる書法が随所に見られます。これらのアーティキュレーションはできる限り守りましょう。
さてこのソナタの第1楽章ですが、ペダルが重要なポイントになりますのでそれをお話ししたいと思います。基本的には、スケールが来るところにペダルは入れないようにします。濁りが生ずるからです。アルペジオ部分で、たとえ濁りが生じない部分でも、声部の独立をハッキリと聴かせるためには、むやみに踏みっぱなしにしない方が良いでしょう。
冒頭から説明します。1小節目ご覧下さい。左手の音はバスから第3音、第5音とタイで伸ばされていますね。ベートーヴェンはこのバス音を伸ばす事で、暖かみや安心感を出したかったのかも知れません。この小節内でペダルの濁りが生じないところは、この、1拍目裏拍の付点8分音符Gから、次の右手の音D2つまでです。最後のAisは例え踏みっぱなしでも、鳴るのは一瞬で、次の小節ではペダルを離すことを考えれば、そう神経質になる事もないのですが、ペダルは、左手の、GHDのみ入れます。そして右手旋律のDが来たらペダルを離します。勿論、左手は2拍目で4分音符ですから、これは指を伴盤の上に乗せておいて、音を伸ばします。
ペダルを2拍目まで踏みっぱなしにしない理由は、右手の旋律である、2拍目裏拍のメロディD-D-Ais が、単旋律であることを聴かせるためです。踏みっぱなしにしてしまうと、メロディーラインとその他の音が混同して聞こえてしまうからです。
左手はもともとタイがかかっているので、ペダルなど必要ないのではと思ってしまうのですが、ペダルを入れないと、今度は右手のラインが切れたり、左手の和音に暖かみが出なかったりと、なかなか都合が悪いことが起こりますので、一瞬ですが、ペダルを入れると良いと思います。
5ー7小節間、声部の独立を聴かせるため、ペダルは一切入れません。
8ー24小節間、左手に分散和音が来ますね。これは、勿論バスの音がどうしても16分音符分の音価しか与えてはならないという厳しい決まりがあるわけではありません。アンサンブルで考えて、バスと、その他の音は別々の楽器と考えます。故に、
1 左手の5の指で、バスを次のバスまで伸ばしておきます。こうすることで、例えば、13小節目でスタッカートが来たり、15小節目1拍目で、G-Fisと、ペダルを入れれば必ず濁りが生じる部分において、ペダルを離したとしても、バスは鳴り続けてくれます。
2 ペダルを一拍毎に入れます。ただし、休符、スタッカートは守り、濁りが生じる装飾音(9、15、17小節など)がある小節は濁りが生じないようにして下さい。同様に、15小節目1拍目のメロディー音G-Fisなど、ペダルを踏みっぱなしにすると濁りが生じる箇所はペダルを抜くなりして濁りを避けます。
24ー32小節間、ペダルは一切入れません。全て、指でレガートやアーティキュレーションを処理します。
33ー40小節間、ペダルを1拍につき2回入れます(半拍毎に)。
41ー43小節間、ペダルは一切入れません。
44小節目、1拍毎にペダルを入れます。
45小節目、ペダルは一切入れません。
46小節目、1拍毎にペダルを入れます。
47ー51小節間、半拍毎にペダルを入れます。
52小節目、ペダル無しです。
53小節目、半拍毎にペダルを入れます。
54ー57、同様にします。
58ー62、ペダルを入れます。
展開部、63ー67まで、冒頭と同じペダルを入れます。
68ー80小節間、ペダルは一切入れません。
81ー83小節間、左手Asが伸びているところのみ、ペダルを入れます。
84ー85小節間、ペダルは一切入れません。
以降、同様なペダルを入れ、97小節目、半拍毎のペダルを入れで、98小節目のゴールに達します。
ご参考まで。
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