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ミヨー :ピアノ・ソナタ 第2番 Op.293

Milhaud, Darius:Sonate pour piano No.2 Op.293

作品概要

作曲年:1949年 
出版年:1950年 
初出版社:Heugel
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:18分00秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (1385文字)

更新日:2020年12月1日
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1949年8月21日、カリフォルニア州カーピンテリアにて完成。ラザール・レヴィに学んだ

俊英、モニク・アース(Monique Haas)に献呈され、1950年3月4日、英国BBC にてアー

スの演奏により放送初演された。急、急、緩、急の4楽章よりなる。円熟期の意欲作であ

る本作の解釈にあたっては、ソナタ形式についてのミヨーの独自の考え方への理解が欠か

せない。アカデミズムの泰斗アンリ・ビュッセルの後任としてパリ音楽院作曲科の教授に

任命されたミヨーが、伝統的なソナタ形式のあらゆる局面を知悉していたことは言うまで

もないが、実地の創作に際しては、形式にとらわれて自由な創意が矯められることを何よ

りも警戒した。主題や動機の労作の痕跡を残すことをいさぎよしとせず、形骸化した様式

感から離れた印象を与えるべく、豊富な旋律を惜しげなく投入する手法を好むと自ら語っ

ている。門下の別宮貞雄氏によれば、作曲科の授業の合間に、モーツァルトのピアノソナ

タを例に挙げ、奔放な自由と形式美が矛盾なく両立していることを生徒たちに具体的に示

すこともあったという。ミヨーの交響曲、協奏曲、器楽ソナタの創作は全て、かかる基本

姿勢の実践と応用であるという事実を確認しておきたい。

ポール・コレールは本作にあふれ出る旋律の豊かさを称賛している。ジャン・ロワはくつ

ろいだ書法により幸福、優美、自由が表現されていると見る。確かに、ミヨー中期の熟達

した書法がいかんなく発揮され、充実した内容を具えた名作であるといってよい。ピアノ

ソナタ第1番(Op. 33)から30余年を経て、多調を含めた書法上の変化についても着目す

べき点が多い。第1ソナタで頻出した大掛かりな和音をぶつけ合う多調は陰をひそめ、こ

こでは、流暢な旋律線の対位法的な処理を書法の軸とし、旋律の絡み合いから偶発的に導

き出される多調が主体となっている。同じ旋律であっても登場する文脈により調性はいか

ようにも変わる。洗練をきわめた書法は、2つのソナタを隔てる歳月の重みを感じさせる。

本作がその重要性に比して実演の機会が著しく低いことは残念である。本作の要求する高

い技術水準が演奏家の敬遠を招くばかりか、その不満の矛先が本作の構成のつかみにくさ

を攻撃することに向けられている傾向がないでもない。しかし、ミヨーの生前からすでに

、楽壇の保守派はミヨーの楽曲の構成力の弱さを指弾し、急進派はミヨーが旧来の形式に

固執していると言い募るなど、双方から異論が出ていた、とはジャン・ロワの証言である

。ミヨーは独立独歩の人でいずれの流派からも距離を置いていた。現代の弾き手、聴き手

は、往時の楽壇の派閥的な対立に根ざした、これらの偏頗な意見のいずれにもくみするべ

きではなかろう。作曲者自身が明確に表明したソナタの創作手法をあくまでも尊重したい

。正視眼の評価と冷静な解釈による本作への積極的なとりくみを期待するものである。

第1楽章 Alerte 活発に。4分の4拍子、嬰ト短調(調号なし)を主調とする。フリギア旋法

を含む。

第2楽章 Léger 軽やかに。8分の7拍子、変ロ長調で始まり、ト長調で終わる(調号なし)。

第3楽章 Doucement 優しく。4分の3拍子、イ長調(調号なし)を主調とする。

第4楽章 Rapide 速く。2分の2拍子。ハ長調で始まり、ホ長調で終わる(調号なし)。

執筆者: 西原 昌樹

楽章等 (4)

第1楽章

総演奏時間:4分30秒 

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第2楽章

総演奏時間:4分30秒 

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第3楽章

総演奏時間:5分00秒 

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第4楽章

総演奏時間:3分30秒 

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