《24の前奏曲 作品11》と共に1897年に出版された数々の前奏曲集の1つ。
第1曲目 ニ短調 4分の3拍子 アレグレット
24歳の時にパリで作曲された。右手が一貫して8分音符を弾く一方で、左手が3分割、4分割、5分割と音価を変化させていく。
第2曲目 変ホ長調 4分の2拍子 プレスト
24歳の時にパリで作曲された。左手の3連音符のうち、2つの音符が拍の前にずらされた、クロス・フレーズの曲となっている。また、全体的にオクターヴを多用している。
第3曲目 変ニ長調 4分の3拍子 アンダンテ
24歳の時にパリで作曲された。黒鍵を基調とした曲である。左右のそれぞれに、たゆたうような音の動きをみせる。また、時折、2対3のポリ・リズムがみられる。
第4曲目 変ロ短調 2分の3拍子 レント
23歳の時にモスクワで作曲された。休符を織り混ぜたメロディーに、一貫して8分音符を弾く左手の単音が添えられている。この左手は大きなうねりと小さなうねりの混ぜ合わせとなっている。
第5曲目 ヘ短調 8分の9拍子 プレスティッシモ
23歳の時にモスクワで作曲された。下降音型の特徴的な16分音符による右手に、オクターヴを主体とした8分音符による左手が添えられている。全体的に大きなディナーミクが求められる。途中で僅か数小節にpが指示されるところがあるが、そこでもこの曲のもつ勢いが衰退することはない。
第6曲目 変ロ短調 8分の6拍子 アレグロ・ドロローソ
23歳の時にペテルブルクで作曲された。息の長い上声のメロディー、全音と半音が絶妙な配置をみせる内声、一歩一歩進むような低声を基調としているが、声部の数は変化する。
第7曲目 ト短調 8分の9拍子 アレグロ・アッサイ
23歳の時にペテルブルクで作曲された。フレーズの多様な長短がみられるメロディーに、幅広い音域を動き回る左手が添えられている。時折、内声が聞こえ、低音がオクターヴに重ねられたりする。扱うディナーミクの幅は広く、最後はこの曲集全体を静かに締めくくる。