《24の前奏曲 作品11》と共に1897年に出版された数々の前奏曲集の1つ。
第1曲目 ロ長調 4分の3拍子 アンダンテ
22歳の時にモスクワで作曲された。幅広い音域を分散和音でしなやかに動き回る左手は、時に3オクターヴもの音域をカバーすることもある。2小節に及ぶ左手の序奏が、右手のメロディーをゆったりと引き出す。左手は、引き続き幅広い音域を行き来する分散和音をなぞり、その上で、右手が息の長いメロディーをのびやかに歌い上げる。
第2曲目
23歳の時にスイスのヴィツナウで作曲された。4対5、3対5、2対5のポリ・リズムによって細かく振動するような響きを生み出すこの曲は、最後は、両手で5連音符を同時に弾くようになる。両手で和音を鳴らすことを主体とした曲である。
第3曲目
22歳の時にモスクワで作曲された。序奏で提示される両手の6度音程による並進行を左手が受け継ぎ、その上で右手が綾を織りなしていく。曲が進むにつれ、右手の音価は細分化されていく。
第4曲目
23歳の時にペテルブルクで作曲された。3小節フレーズの積み重ねにより構成されている。僅か12小節の短い曲である。右手の単音のみになるところと、両手で和音を響かせるところの対比が印象的である。
第5曲目 嬰へ長調 8分の3拍子 アレグレット
23歳の時にモスクワで作曲された。この曲のメロディーは、幅広い音域を動きまわる。そこに添えられる左手は単音であることが多く、これまた幅広い音域を覆っている。