《24の前奏曲 作品11》と共に1897年に出版された数々の前奏曲集の1つ。23歳の時にモスクワで作曲された。
第1曲目 ハ長調 4分の3拍子 マエストーソ
コラールを想起させるような荘厳なつくりとなっている。1度に響く音域が広く、オルガンを想起させるテクスチュアが特徴的である。
第2曲目 イ短調 8分の6拍子 アレグロ
16分音符と8分音符がかみ合うこの曲は、ポリ・リズムに頼ることがない。左右の手はそれぞれに独自のうねりをみせ、その音の動きのしなやかさが際立っている。
第3曲目 ト長調 4分の3拍子 アンダンテ
右手のゆっくりと歩むようなメロディーに、左手のうごめくような3連音符が添えられている。
第4曲目 ホ短調 4分の2拍子 アレグロ
3対5のポリ・リズムの手法がとられている。非和声音が美しく多用されている。そして、最後のピカルディー終止が、この曲の美しさの極めつけとなっている。
第5曲目 ニ長調 8分の6拍子 アレグロ
重音による右手のメロディーに、幅の広い左手の分散和音が添えられている。
第6曲目 ロ短調 8分の6拍子 プレスト
オクターヴを基調としている。メロディーは、途切れがちになったり、引き延ばされたりし、この曲の推進力の変化に寄与している。そして、そのような推進力の変化が、この曲集の締めくくりを築いていると考えられる。