作品概要
作曲年:1886年
出版年:1947年
初出版社:Moscou
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ワルツ
総演奏時間:1分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (2)
解説 : 山本 奈央
(321 文字)
更新日:2023年7月10日
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解説 : 山本 奈央 (321 文字)
《ワルツ》変ニ長調は、1886年12月に作曲された作品である。《ワルツ》嬰ト短調と並んで遺作の作品として、1927年に出版された。ヴェーラ・ガンブルツェフに献呈された作品であるが、この人物に関しては不明である。またスクリャービンの初恋の相手でありピアニストのナターリア・セケーリナや、医師の娘オルガ・モニゲッティ、ミス・エゴロワなど多くの人物に献呈された時期でもあった。3拍子のリズムに煌びやかなメロディーが高音で奏される冒頭に始まる穏やかなワルツで、中間部では平行調の変ロ短調に転調し、短二度を含んだメロディーが冒頭メロディーと対照的に登場する。後半にかけて左手のワルツのリズムが発展し、メロディーが煌びやかに最後まで展開される作品である。
演奏のヒント : 山本 奈央
(424 文字)
更新日:2023年7月10日
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演奏のヒント : 山本 奈央 (424 文字)
【演奏のヒント】
右手が旋律、左手が伴奏部からなるワルツです。旋律はレガートで、第2小節目のアクセントは決して強く強調せず、高音を響かせるように意識してみてください。第13小節目、第14小節目は右手が2声に分かれますが、どちらの旋律も同じように大切に弾いてください。第17小節目からは変ロ短調に転調します。第16小節目までの明るさとは対照的に、少し影があるような部分ですが、第24小節目からのクレッシェンド→第25小節目はフォルテで華々しく駆け登ってください。何度かこのフレーズが繰り返され、転調すると主調へと帰りますが、冒頭には戻らず、同じフレーズのまま第65小節目では左手が発展します。最後は第79小節目からの新たな右手の旋律から始まる長いフレーズによって締めくくられますが、第77小節目のフォルテは煌びやかに打鍵をはっきりと鳴らすように開始し、第83小節目のPPはエコーのように、そして最後まで長いフレーズが途切れないように弾いてみてください。