1937年作曲。ミヨーは20世紀初頭の「フランス6人組」の1人である。フランス大使の秘書としてブラジルに滞在したことがあり、作品にもその影響が見られる。この「スカラムーシュ」はモリエールの喜劇によるこどものためのドラマ「空とぶお医者さん」のための付随音楽より2台のピアノ用に改作したもので、ジャズの影響もうけ明るい雰囲気と生き生きとしたアンサンブルにより非常にポピュラーな作品である。
第1曲:Vif(ヴィフ)
Vifとは「元気に、活発に」の意味で、ここでは題名のように用いられている。冒頭よりffで分散和音とユニゾンによる第1主題が提示され、続く第2主題はサンバ風リズムで伴奏される。半音進行と付点リズムが多用され、また主旋律が2人の奏者を目まぐるしく行き来する華やかな曲である。
第2曲:Modere(モデレ)
Modereも同様に音楽用語の「モデラート」と同じ意味で、3曲をひとまとめに考えた場合に緩徐楽章の役割を果たしている。まずシンプルな旋律が第1ピアノによって奏され第2ピアノが模倣し、次には断片的なモチーフが対話風に現われる。中間部は拍子がかわり静かな旋律に付点リズムや半音階で絶妙に味付けされている。
第3曲:Brazileira(ブラジルの女)
冒頭に「サンバのリズムで」とあるように、いきなり両ピアノによる激しいサンバのリズムではじまるが、旋律が第2ピアノに移ると応答のように形が変わっている。中間部では和音による旋律とシンコペーションによるリズムが目まぐるしくかけあう様は、気まぐれな女達が踊り狂っているようである。