チャイコフスキー : 「四季」-12の性格的描写 12月「クリスマス」 Op.37bis 変イ長調
Tchaikovsky, Pytr Il'ich : Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.12 "Noel" As-Dur
作品概要
解説 (1)
解説 : 山本 明尚
(752 文字)
更新日:2019年6月25日
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解説 : 山本 明尚 (752 文字)
ある年の洗礼祭の夕べ
娘たちが恋占いをしていた
片方の靴を脱ぎ捨てて
門の外に放り出して
エピグラフはジュコーフスキイの「スヴェトラーナ」(1813)より。
8月の「スケルツォ」と同じく、カッコ内の副題はチャイコフスキー自身によって追加されたもの。
「スヴャートキ」とは聞き慣れない言葉だが、これはロシアの暦で、クリスマスから洗礼祭前夜までの十二日間(12月25日〜1月6日)の祝祭期間を指す。引用されている詩では、この期間に特別に行われる農村の娘たちの恋占いが描かれている。
ただし、チャイコフスキーが楽曲で描いているのは、農村に住む彼女たちの素朴な輪舞ではなく、都会の様式化され、洗練された円舞のように聴こえる。
変ホ長調の主部は、ゆるやかに上行し、ゼクエンツによって下行していく主旋律が特徴的で、軽やかな朗らかさがある。トリオはホ長調に転調し、両外声のゆるやかな下行音型のかけあいによる落ち着いた部分に、fに始まる活発な部分が挟まれている。短いコーダは一旦fまで盛り上がりながらも、節度を持ってpで優雅に終結する。
(詩の翻訳は、ロシア・フォークロアの会 なろうど編著『ロシアの歳時記』に掲載された一柳富美子氏の訳を、ご厚意のもと使用させていただいた。ここに深く感謝を申し上げる。『ロシアの歳時記』は、チャイコフスキーが暮らし、愛したロシアの風土や人々の生活、フォークロア文化をまとめた書籍で、しばしばロシアならではの素材が組み込まれ、理解にある程度の背景知識を必要とすることもあるロシア音楽を解釈する際に、助けを与えてくれる一冊である。)
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