チャイコフスキー :「四季」-12の性格的描写 5月 「白夜」 Op.37bis ト長調

Tchaikovsky, Pytr Il'ich:Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.5 "Les nuits de mai" G-Dur

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:4分00秒

解説 (1)

解説 : 山本 明尚 (687文字)

更新日:2019年6月25日
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素晴らしき夜! すべてを包み込む安らぎ!

この北の故郷に感謝しよう!

氷の王国から 吹雪と雪の王国から

かくも新鮮で清澄な故郷の五月がやって来る

エピグラフはアファナーシイ・フェートの「まだ五月の夜」(1857)より。

夏のペテルブルクは白夜の季節である。緯度の高い帝国の北都では、太陽はなかなか沈まず、深夜でも明るい時間が続く。

とはいえ、たとえペテルブルクであろうと、五月には白夜にはならない。ベルナルトがなぜこのような題名を五月の曲に指定したかは謎であるが、エピグラフ(これも白夜とも関係ない)が「なんと素晴らしき夜!」という詠嘆から始まることを考えると、「白夜」という言葉からは、沈まぬ太陽ではなく、冬から開放された明るさの方を連想すべきではないかとも思われる(前掲書120頁の一柳の意見も参照されたい)。

三部形式の主要部分の冒頭、弱音で演奏されるト長調のアルペジオは、通常楽曲の半ばで見られるヘミオラが、拍節が不規則にしている点で意欲的な構造を持つ(3拍子系の曲の2小節を、通常の33ではなく222の拍節で区切ることをヘミオラという)。また、全体の小節構造もシンメトリーになっておらず、主要部分の強弱はpppでとどまっており、やや脆く不安定な印象を受ける。中間部は2/4拍子、アレグロ・ジオコーソと標示されるテンポの早い部分で、分散和音の伴奏に乗せて、下行音型による素朴な旋律が高揚していく。

執筆者: 山本 明尚

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