チャイコフスキー : 「四季」-12の性格的描写 3月「ひばりの歌」 Op.37bis ト短調
Tchaikovsky, Pytr Il'ich : Les saisons - 12 Morceaux caracteristiques No.3 "Chant de l'alouette" g-moll
作品概要
解説 (1)
解説 : 山本 明尚
(575 文字)
更新日:2019年6月25日
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解説 : 山本 明尚 (575 文字)
更新日:2019年6月25日
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野には花々がさざめき
空には光がきらめく
春ヒバリたちの歌声は
果てしない空に満ちあふる
エピグラフはアポローン・マーイコフの詩集『野外で』(1857)より、「野に花々はそよぎ……」からの引用。初春の晴れやかな自然描写である。
ト短調による主要主題の旋律は、右手と左手で応答し合いながら進む。中間部の旋律は変ロ長調のほの明るさを備えているが、すぐにト短調に戻っていく。どちらの旋律も、装飾音やスタッカートを備えており、チチチとさえずる雲雀のイメージに合致している。
短い楽曲は全体的に憂いに満ちており、春の訪れを喜ばしく詠むエピグラフのイメージと曲調が食い違っている。これについては、例えば音楽学者の一柳は「……哀愁と希望とがないまぜになった早春の自然を、どんよりとくすんだ低い空を舞うヒバリの姿に擬えている……」(ロシア・フォークロアの会 なろうど編著『ロシアの歳時記』118頁)と、ロシアの季節感に即して解釈している。3月は冬から春へと移り変わる微妙な時期で、雪が降る日は徐々に少なくなり、冬の間に分厚く張った川の氷も溶け出し、一柳の言葉を借りれば「遠慮がちに自然が目覚め」ていく。
執筆者:
山本 明尚
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