1933年2月に作曲されたピアノ曲集。収録曲は全て、同年3月に初演されたジャン・ジロドゥの劇作品『インテルメッツォ』の付随音楽だったものである。そのため、作品はジロドゥと、初演舞台の演出を担当したルイ・ジョヴェに献呈されている。
この曲集には「ピアノのためのこどもの小作品集」という副題が付いており、またサラベール社所有の自筆譜のタイトルページにも、「ピアノのための簡単な小曲集」と書かれていることから、プーランクがこの曲集を、こどもでも弾けるような易しい作品としていたことがわかる。作曲家はさらに、タイトルページの裏側に「これらの作品は全曲続けて弾かれても良い、ポプリのやり方で」と記してもいたが、「ポプリのやり方で」の一文はのちに削除された。なお、ポプリとは、広く知られている旋律やその断片をつなぎあわせた曲のこと。
作品は、〈チロルのワルツ(陽気に)〉〈スタッカート(速くなく)〉〈素朴に(速く、陽気に)〉〈ポルカ(早急にならずに)〉〈小さなロンド(とても活発に−リズミックに)〉〈コーダ(テンポ・プリモ)〉の6曲からなる。いずれの曲も短く、劇伴音楽という、作品のもともとのありかたを容易に想像させる。