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ベートーヴェン :ヴァイオリン・ソナタ 第7番 Op.30-2 ハ短調

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier und Violine Nr.7 c-moll Op.30-2

作品概要

作曲年:1801年 
出版年:1803年 
初出版社:Bureau d'art et d'industrie
楽器編成:室内楽 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:26分50秒

解説 (1)

執筆者 : 丸山 瑶子 (1567文字)

更新日:2011年7月7日
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ベートーヴェンの他のハ短調作品と同じくパトスに満ちた作品。楽章間の関連は、主題のターン音形やピアノソロの開始、両端楽章の低音の2度進行などに見られる。

第1楽章の冒頭8小節は続く抒情的な楽段の旋律線(ターン音形2回と音階下行)と和声進行(ハ短調I→IV→I)を含む。14小節目以降はカデンツの繰返しで主調が強調される。

副主題はスタッカートの旋律と行進曲風の付点リズムの音形から成る。主題確保では変ロ短調の減7和音へ進み、解決と同時に左手が16分音符で動きだす。音楽は音階上行、広い跳躍や強弱指示により勢いを増す。終結主題(52小節~)では、弱拍のsf、旋律のシンコペーション、声部間のアクセントのずれによる拍節構造の重層的なずれが音楽を先へ促す。カデンツでも和声的安定を与える完全終止が避けられて推進力が保たれ、呈示部最後の属和音も解決が見送られたまま展開部へ入る。

展開部前半は主要主題の回音が、後半は副主題の付点リズム動機が活用される。113小節からヴァイオリンの主題の下行動機を伴い、ピアノの半音上行と分散和音が強弱を揺らして緊張感を高めつつ猛進し、crescをかけながらffで再現部へ至る。

長大なコーダでは展開部と同じく回音と付点リズムの順に主題素材が活用される。なお付点リズム動機のカノンは変ニ長調で始まり、終楽章のコーダや同時期のOp. 29などと共通の、作曲家のナポリ調への関心が伺える。その後、ピアノが16分音符で走り出し、ピアノの半音階の緊張の上でヴァイオリンが冒頭よりオクターヴも上から主題を奏す。ヴァイオリンの鋭いリズムの跳躍や広域を動くピアノが楽章末のカデンツまで勢いを保つ。

第2楽章はABA’コーダの3部形式。Aでは借用和音と強弱の揺れが素朴な旋律を情感豊かにする。変イ短調の中間部は2分音符の半音進行、響きの薄い分散和音、葬送行進曲風の付点リズムが悲哀な雰囲気を生む。A’は伴奏が分散和音や滑らかな音階へ変わる。ベートーヴェンは同時期のHess34で展開部の素材を再現部に採入れているが、この伴奏の変化も中間部の素材の発展だろうか。コーダのハ長調の音階上行は、実験的ソナタ期に特徴的な音楽の流れを断ち切る異質要素といえ、また楽章末のピアノの走句の予兆ともとれる。

第3楽章は付点リズム動機の呼応、トリオのカノンなど楽器同士の絡み合いが多い。拍節法も注目される。まずスケルツォ、トリオ共にヘミオラがある。スケルツォ中間部では弱拍の付点リズムが小節の頭に移動して続くsfと共に拍節感を狂わせる。トリオではカノンの結果、全拍にsfが付いてアクセントの応酬となり、中間部では刺繍音を含む8分音符の動機が本来の3/4拍子を6/8拍子へ変える。全体的に拍節法の工夫が諧謔さを支えているといえる。

終楽章はソナタロンド形式。冒頭7小節の和声進行(I→Vl)の異質さや、安定的な主調主和音解決と共に初めてより旋律的な楽想が現れるという点は第1楽章に通じる。副主題は冒頭主題と対照的に快活な性格だが、同音反復と4拍目の装飾音形という構造は共通である。

2回目の主題はハ長調へ転調し、主要主題旋律、推移部の8分音符の音階、冒頭の2度進行によるフーガが続く。主題は次第に短縮され、リズムの特徴のみを残した音階となる。音楽は勢いを高め、広い音域幅で平行する左手とヴァイオリンの音階上行の後、3音音階の切迫が更に推進力を増し、音価を半減した3音動機による長い属和音が再現部を準備する。

コーダのPrestoは主要動機の切迫や低音進行の加速、シンコペーション、上行音階、頻繁な強弱変化がクライマックスを生み、その力強さは楽章最後のffによる両楽器の音階下行まで弱まらない。最後は主和音の連打が過剰なエネルギーを発散するようにして楽章が閉じられる。

執筆者: 丸山 瑶子

楽章等 (4)

第1楽章

総演奏時間:7分10秒 

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第2楽章

総演奏時間:11分30秒 

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第3楽章

総演奏時間:3分10秒 

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第4楽章

総演奏時間:5分00秒 

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