シューベルト :幻想曲(グラーツの幻想曲) ハ長調 D 605a
Schubert, Franz:Fantasie(Grazer Fantasie) C-Dur D 605a
執筆者 : 稲田 小絵子 (316文字)
1969年、グラーツの音楽家であったルドルフ・フォン・ヴァイス=オストボルンの遺品の中から発見され、その年のうちに出版された作品(その地名に因んで《グラーツ》幻想曲と呼ばれる)。発見された譜はシューベルトの自筆譜ではなかったが、彼の作品を管理していたヨーゼフ・ヒュッテンブレンナーの筆跡で「フランツ・シューベルト作曲 ピアノフォルテのための幻想曲」と記されていた。作曲はシューベルト21歳の1818年と推定されている。
主題はシューベルトらしい牧歌的な旋律がオクターヴで歌われる。その後は「ポロネーズ風に」という指示による舞曲リズムをはじめ、さまざまな調と動きを幻想的に展開させるが、最終的には冒頭主題が回帰し、穏やかに作品を閉じる。
幻想曲 ハ長調(グラーツの幻想曲)