1918年、兵役中に作曲された初期のピアノ曲。献呈は友人である美術家のヴァランタン・グロス。翌年、師であるピアニストのリカルド・ヴィニェスによって初演され、大成功を収めた。
作品は次の3つの曲から成り、組曲のような作品となっている。どれもタイトルの「無窮動(常動曲)」にふさわしく、常に動きを止めず、どこまでも続き得る曲である。
アッセ・モデレ:「モデレ」とは「モデラート(中庸の速さ)」、「アッセ」は「十分に、きわめて」の意。伴奏部分に休みなく続く音型をもち、やや忙しないが、明るい旋律による楽しい雰囲気の曲である。
トレ・モデレ:「トレ」は「非常に、多く」の意。1曲目よりもゆったりしたテンポで、迷路に迷い込んだかのような不安を呼び起こす曲である。
アレルト:「活き活きと」の意。快活な冒頭が特徴的に何度も戻ってくる。