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ベートーヴェン :創作主題による6つのやさしい変奏曲  WoO.77 ト長調

Beethoven, Ludwig van:6 Leichte Variationen über ein eigenes Thema G-Dur WoO.77

作品概要

作曲年:1800年 
出版年:1800年 
初出版社:Traeg
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:変奏曲
総演奏時間:7分10秒

解説 (1)

執筆者 : 稲田 小絵子 (510文字)

更新日:2008年9月1日
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当時の変奏曲は、流行している人気のオペラの旋律を主題とすることが多く、ベートーヴェンも1790年代にはそうした変奏曲をいくつも作曲した。しかし1800年になって初めて、自作の主題をもとに独立したピアノ変奏曲を生み出したのである。

タイトルどおり、比較的やさしい小規模な変奏曲である。主題は旋律、和声ともに単純で親しみやすく、小節構造も8+8小節を繰り返すのみである。

だが、この作品が、主題旋律と主題のバスから成る2主題の変奏曲であることは注目に値するだろう。各変奏では、主題の旋律とバスのどちらかが比較的明瞭に聞き取れるよう工夫されているのである。第1変奏ではバスをそのまま残し、第2変奏では左右ともに装飾的に変奏させながらも、バスの骨格を残している。第3,4,5変奏では主題旋律を際立たせ、最後の第6変奏は和音の根音で再びバスを用いている。コーダは最初の2小節を装飾的に変奏してゆき、最終的にはドミナント-トニックの繰り返しで作品を閉じる。

2主題という変奏手法は、2年後のピアノ変奏曲作品35(《プロメテウス》あるいは《エロイカ》変奏曲)に特徴的である。ベートーヴェンはこの自作主題による変奏曲を実験台としたのだろうか。

執筆者: 稲田 小絵子
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