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ベートーヴェン :ピアノ協奏曲 Op.61 ニ長調

Beethoven, Ludwig van:Konzert für Klavier und Orchester D-Dur Op.61

作品概要

作曲年:1807年 
出版年:1808年 
初出版社:Bureau d'art et d'industrie
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:協奏曲
総演奏時間:43分02秒

解説 (1)

執筆者 : 丸山 瑶子 (866文字)

更新日:2011年4月10日
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ピアノ協奏曲Op.61a(ヴァイオリン協奏曲Op.61の編曲)

Op.61aはベートーヴェン唯一のヴァイオリン協奏曲Op.61を、出版業も営んでいたクレメンティの依頼により、作曲家自身がソロパートのみをピアノ用に編曲したものである。この時ピアノ用のカデンツァも新たに書かれた。ベートーヴェンはピアノソロパートの作曲と平行で初演ヴァイオリンパートも改訂した。そのため現在演奏されている2稿には編曲と原曲の両層が重なり合うと言え、単純にヴァイオリン稿を原曲、ピアノ稿を編曲とは定めにくい。作曲家が初演稿を同時に2つの楽器のために練り直したとも捉えられる。

冒頭楽章はソナタ形式、第2楽章は変奏曲。ロンド楽章はソロパートのカデンツァからアタッカで始まる。終楽章のコーダは長いトリルに導かれ、ソリストの見せ場が絶頂に達して曲が終わる。

ベートーヴェンの自作編曲の多くは原曲を単に別媒体へ移したものではない。原曲と編曲の違いから楽曲構造や作曲家が意図しただろう奏法が細かく読み取れるのに加え、編曲は独自の創意工夫にも溢れている。Op.61aではピアノの左手という新たなパートが鍵を握る。左手は大部分が右手の旋律や管弦楽伴奏の補強に留まるように見えるが、その補佐的な左手から、小節内の強弱変化やアーティキュレーションなど、曲の構造や奏法へのヒントが得られる(ex.第1楽章409小節~、496小節~(右手2音を左手和音が纏める))。

一方Op.61aには、ヴァイオリンとは全く別の旋律線や、管弦楽とソロ及び両手パートの動機の呼応、ペダルの指示など、鍵盤楽器語法、左手の存在や楽器の特性に深く関わる独創的な点も目立つ(ex.第1楽章111~、333~、第3楽章)。更にOp.61aは、第1楽章全体を統一するティンパニの動機が、本来ソリストのみのカデンツァにも組込まれている点で、協奏曲として画期的な作品でもあるのだ。

Op.61aは、確かに弦楽器向けの音形も多く残るため演奏の難点が度々批判されるが、ピアノ協奏曲として独自の価値を持つことは疑いないだろう。

執筆者: 丸山 瑶子

楽章等 (3)

第1楽章

総演奏時間:23分44秒 

解説(0)

楽譜(0)

第2楽章

総演奏時間:10分32秒 

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楽譜(0)

第3楽章

総演奏時間:8分46秒 

解説(0)

楽譜(0)

その他特記事項
ヴァイオリン協奏曲op.61のピアノ用編曲。クレメンティの要請によって作(編)曲された。