タンスマンは教育作品の創作を得意とし、主力出版社のマックス・エシック（フランス）以外にも大手の複数社の依頼に応え種々の作品を書いている。ウィーンの名門ウニヴェルザール社とは戦前からの付き合いがあり、1958年に本作を提供した。おおむねチェルニー30番程度のグレードだが、それ以上の技術を要求する難所もある。ジャズやブルース調の曲を含まず、全体に折り目正しく上品な曲調でまとめられている。バッハを思わせる多声音楽、古雅な舞曲、メカニックな新古典風、しゃれたウィンナワルツなどバラエティに富んで聞きごたえがあり、学習上の効用も大きい。

第1曲 Hungarian Mood (Auf ungarische Art) ハンガリー風 Moderato 4分の4拍子 イ短調

第2曲 Toccata トッカータ Allegro moderato 2分の2拍子 ハ長調

第3曲 Meditation 瞑想 Lento cantabile 4分の4拍子 ニ長調

第4曲 Gigue ジーグ Molto allegro 8分の6拍子 ハ長調

第5曲 Echo エコー Allegretto grazioso 4分の4拍子 イ短調

第6曲 Two-part Gavotte (Gavotte mit zwei Stimmen) 二声のガヴォット Allegretto grazioso 2分の2拍子 ハ長調

第7曲 Siciliana シシリアーナ Andante con moto 8分の6拍子 イ短調

第8曲 Study (Etüde) 練習曲 Vivo 4分の3拍子 イ短調

第9曲 Fughetta フゲッタ Allegro con moto 4分の4拍子 ハ長調

第10曲 Vienna (Wiener Walzer) ウィンナワルツ Tempo di Walzer 4分の3拍子 ハ長調