作品概要
出版年:1995年
初出版社:音楽之友社
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:種々の作品
著作権:保護期間中
解説 (1)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(712 文字)
更新日:2024年2月8日
[開く]
演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (712 文字)
月刊誌『ムジカノーヴァ』に連載するために書き進められた27の小品で、1995年音楽之友社から出版されました。
楽譜の前書きには、「内容的には普段慣れ親しんでいる響やモチーフを中心に、音による幻想的な童話の世界をイメージしてかきました。」とある通り、童話を読むように、イメージを広げて音楽で物語を描き出すように演奏されるのが良いでしょう。難易度の幅はやや広く、前半はブルグミュラー前半程度の初級者から後半は中級者以上で難易度がかなり上がります。対位法的な書法で書かれた「1.おはなし」「13.小さな哲学者」「14.こがね虫のロンド」「16.合奏の時」、中間部にヘンデルの「調子のよい鍛冶屋」のメロディが挿入される「4.子だぬきの小太鼓」、中間部にメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が挿入される「24.いそがしい一日」は、尾高の遊び心が垣間見られます。また、「22.いたずらっ子の見た夢」は、尾高惇忠らしい和声に彩られ、2020年に清水和音氏により初演され、出版された遺作「ノクターン」の中にも非常に似た箇所があります。「27.ソナチネ」は、作曲者が東京藝術大学1年生の時の提出作品で、第二主題が気に入らないまま放置しておいたものを30年以上の月日を経て、作り直したものということです。※参考資料:CD『こどものためのピアノ曲集 童話の国、ピアノ連弾曲集 音の旅』丹羽悦子(ピアノ)尾高惇忠(ピアノ・作曲)ブックレット
この曲集が出版された1995年は、作曲者の母であるピアニスト尾高節子氏の没後20年に当たるとして、母に捧げられています。12「お母さんのおはなし」では、母への思慕の念が、哀愁のあるメロディと共に迫ってくるようです。