モンポウ :前奏曲 第6番
Mompou, Federico:Prelude No.6
執筆者 : 和田 真由子 (308文字)
前奏曲の5~10番は、1930年~51年にかけて作曲され、《6つの前奏曲》として翌年1952年にSalabert社より出版された。
この《前奏曲第6番》がかかれたのは1930年。左手のために書かれているという点で、前奏曲の中では特異な存在である。モデラート―カンタービレ・エスプレッシーヴォ。全体としては、冒頭の動機が発展していく形でかかれている。拍子、調号はなし。小節線も一切かかれておらず、演奏者に充分なルバートが求められる。曲の構造を把握した上で、一つ一つの音の余韻をいかに演出していくか。打鍵や息づかい、ペダルの踏み方などにおいても集中力、繊細な耳を要する。心の内奥を震わせるような、悲しくも美しい一曲である。