ミヨー :瞑想 Op.277
Milhaud, Darius:Méditation Op.277
解説 : 西原 昌樹 (668文字)
1947年4月30日、ミルズにて完成。長らく未出版であったが、2010年に Claude Arrieu, Georges Auric, Serge Nigg, Elsa Barraine の作品との合本の形でようやく出版された。4分の3拍子、自由な形式による見開き2ページの小品で、思索的な楽想と多調を生かした奥深い音響を持ち味とし、秘曲らしい一種独特の霊性をまとう。速度表示を欠くが、当然、落ち着いたテンポでの演奏が想定されよう。作曲家エルザ・バレーヌ(Elsa Barraine, 1910-99)への献呈。バレーヌは1929年に女性として史上4人目のローマ大賞受賞者となったが、第二次大戦中にはレジスタンス活動に身を投じ、クロード・デルヴァンクールとともにユダヤ人音楽家の精力的な支援にあたった。本作はバレーヌとミヨーとの間に確かな交流があったことを証だてるもので、その歴史的価値は大きい。初演は1980年4月27日、スタンフォード大学にて、アメリカの音楽学者、ピアニストのジェーン・ガランテ(Jane Galante, 1924-2010)がおこなった。ガランテはミルズ・カレッジでミヨーに師事し、ミヨーの評伝(ポール・コレール著)やクロード・ロスタンとミヨーの対談の英訳を出版するなど師の音楽の普及に尽力し、フランス政府よりシュヴァリエ章を受勲した。
ダリウス・ミヨー:瞑想 Op.277(日本初演)Milhaud, Darius:Méditation Op.277 (Japan premiere)
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