1941年1月にカリフォルニア州オークランドにて作曲された。ミヨーの滞米時代の最初期の作品の一つである。カール・フィッシャー社の Educational Series : Masters of Our Day (監修 Lazare Saminsky, Isadore Freed)に組み込まれていることから、米国最大手の出版社の委嘱によりミヨーが書き下ろしたものとみられる。ミヨーのピアノ曲の中では学習者向きの最も平易なものである。
両手とも白鍵のみを弾く《白鍵で》、黒鍵のみを弾く《黒鍵で》の2つの小品よりなる。《白鍵で》はアニマート、4分の3拍子、ハ長調、A-B-A' の簡素な三部形式で、最初のA と 再現時のA' では右手に同一の旋律を弾かせながら、異なる和声を持つ左手の伴奏が付く点が学習上のポイントとなる。《黒鍵で》はモデラート、4分の4拍子、変ト長調、A-A' の二部形式でペンタトニックの素朴なメロディが歌われる。なめらかな演奏のため、譜面の指定に基づいて慎重にペダルを導入することも検討されてよい。