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ミゴ : 小さな寓話集

Migot, Georges : Le Petit Fablier

作品概要

楽曲ID: 7495
作曲年:1927年 
出版年:1930年
初出版社:Alphonse Leduc
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:14分00秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (1395 文字)

更新日:2025年10月16日
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8つの小品よりなる学習者のための曲集。1927年10月から11月にかけて作曲。ドニーズ・フェイー(Denise Faillie)への献呈。副題に「子供たちに音楽の特定の新しい局面に親しませるためのいくつかのページ」(Quelques pages destinées aux enfants pour les familiariser avec certains aspects nouveaux de la musique)とある。同じく教育用に書いた前作《フランス王太子のために》(Ad usum Delphini)の難度が一般作品並みに高かったのと異なり、今作は大幅に平易となっている。バッハの二声インヴェンションを思わせるシンプルな譜面の曲もある。技法は必ずしも全てがポリフォニックではなく、部分的にホモフォニックな処理も取り入れるなど折衷的。3ページの曲が多く各曲に一定の長さがあること、終盤に向けて難度も上がることから、チェルニー30番練習曲くらいまで進んだ学習者の取り組みが想定される。

以下の8曲よりなる。

第1曲 La lapin et la sarcelle ウサギと子ガモ Allant 2/4

第2曲 Le singe qui montre la lanterne magique 魔法のランタンを見せる猿 Allégre 4/4

第3曲 Le pot de terre et le pot de ferre 土の鍋と鉄の鍋 Modéré 3/4

第4曲 La mouche du coche 馬車と御者 Allant 3/4

第5曲 Les deux pigeons 二羽のハト Souple 3/4

第6曲 L'alouette et ses petits ヒバリ、その子供たちと畑の主 Décidé 2/4

第7曲 Le pinson et la pie カワラヒワとカササギ Allègrement 3/4

第8曲 L'enfant et le miroir 子供と鏡 Allant 12/8

(邦題は1988年に出た日本盤コンパクトディスク[NECアベニュー『ジョルジュ・ミゴ ピアノ作品集』ジョン・ホイランド]による)

アルカイックなムードや、淡々としながらも時折見せる謎めいた表情は、各曲のタイトルとよくマッチしていると思うが、ミゴの高弟マルク・オネゲルは、ミゴが先に「易しいピアノ小品集」(Petites Pièces assez faciles pour piano)として曲だけを書き、そのあとに、ラ・フォンテーヌやフロリアンの寓話集から引用した標題を付けたものだと事情を明かす。ミゴ作品にあっては特に珍しくはない、タイトルの「後づけ」の典型的なケースである。オネゲルは本作がミゴのピアノ作品中《子供の領分》に相当するものと位置づけている。繰り返しての鑑賞に堪える芸術性を具えていることは言うまでもない。フランスのピアノ音楽のご意見番、ギイ・サクルも着想、内容の両面で本作を好意的に評価している。中級者向きの特色ある曲集としてあらためて注目されてよい。

執筆者: 西原 昌樹
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