作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(642 文字)
更新日:2024年5月14日
[開く]
演奏のヒント : 大井 和郎 (642 文字)
この曲にはフレーズが5つあります。3つ目までのフレーズは繰り返したときも同じですが、4つ目が、第1括弧と第2括弧と2つあるので、合計5つと考えます。各フレーズは、第2括弧の最後のフレーズを除き、基本的にクレシェンド、ディミヌエンドで処理してください。フレーズの終わりの音(例えば2小節目の3拍目、左手の2分音符D)には、アクセントが付かないように注意します。
その上で、この形の似た4つのフレーズを考えてみましょう。1つ目のフレーズでは、この曲の最高音であるAに右手が達します。1つのフレーズは多少大きな音でも大丈夫です。それに対して、2つ目のフレーズは2度下がって少し大人しめですね。1つ目のフレーズとコントラストを付けてみましょう。
3つ目のフレーズは、更に2つ目のフレーズよりも音は下行しますが、3つ目のフレーズだけは2声で進む2つのラインを感じる事の出来るフレーズで(5小節目の3度の進行により)、メロディックなフレーズです。
4つ目は、更に下行します。学習者の皆様は、これらの4つのフレーズに対して、それぞれのムードやキャラクター、気持ち、何でも良いですので、違いを感じて、先生とお話しして、どのフレーズがより一層テンションが高いか、低いか、特別なムードになるか、等、決めて、そしてそれらの違いを表現して下さい。くれぐれも全て同じように弾かないようにして下さい。
曲全体は合唱団が歌っているように、3度進行しますが、若干左手の音量を抑えて右のメロディーを際立たせると綺麗に弾けます。
解説文 : 熊本 陵平
(572 文字)
更新日:2024年11月14日
[開く]
解説文 : 熊本 陵平 (572 文字)
メラルティンはフィンランドの作曲家で、シベリウスと同じように祖国フィンランドの風土を抒情的に表現した作曲家である。
本作品は、小品ではあるものの、そうしたメラルティンの作風が垣間見れる作品となっており、タイトル「うた」の通り、長いフレージングによる旋律が大きな特徴となっている。
一部形式
a (1から4小節)+ a1(5から8小節)
全体の構成としては4小節の主題が提示され、続く4小節で主題が変形展開し終結へと導く。シンプルな構成となっている。
主題は上行形と下行形の二つの動きで構成されている。冒頭上行形の頂点に属7和音を置くことで緊張のピークを作り出し、下行形の終わり、4小節目でⅠ主和音をもって全終止と成す。ただ、2小節目4拍目は上行するアウフタクトであり、4小節全体としては一つの山形の流れでありながら、後半2小節でも上下行の動きを汲み取って、軽くフレーズの膨らみを表現すべきだろう。
高音部譜表(ト音記号)の音域内でまとめられており、低音域の音はないため、軽やかであり、そして拍子感やリズム感などが感じにくく、どちらかというと横の流れが優先される構造となっている。まさしく「うた」を表現されたものである。
2、4、6、8小節、左手3拍目にやってくるd音は一つの区切りとなっていて、それはまるで舟唄における舟を漕ぐ動作にも連想される。
ピティナ&提携チャンネル動画(7件)
楽譜
楽譜一覧 (1)

(株)全音楽譜出版社