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リスト :ハンガリー民謡による幻想曲 S.123/R.458 H12

Liszt, Franz:Fantasie über ungarische volksmelodien S.123/R.458 H12

作品概要

作曲年:1849年 
出版年:1864年 
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:幻想曲
総演奏時間:15分30秒

解説 (1)

総説 : 上山 典子 (1078文字)

更新日:2018年3月12日
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当時はハンガリー王国領内だったライディング(現在はオーストリア共和国内)に生まれたリスト(1811-1886)は、1822年に生地を離れて以降、再びハンガリーの地に定住することはなかった。また、民族的にもドイツ系だったリストがハンガリー語を理解することもなかったが、彼の「祖国」に対する愛と誇りは、生涯を通して、創作、演奏、文筆活動など様々なかたちで示され続けた。  正式名称《ハンガリーの民謡旋律に基づく幻想曲》ホ短調、通称《ハンガリー幻想曲》はピアノと管弦楽のための単一楽章作品で、1853年頃に完成した。それは1852年頃に作曲したリスト自身のピアノ曲《ハンガリー狂詩曲》第14番、ヘ短調に基づき、自由な編曲を施したものである。(ただし、序奏そして主部の主題など、一部は移調されている。)  1853年6月1日にペストで行われた初演は、リストの一番弟子である24歳のハンス・フォン・ビューロー(1830-1898)がソリストを、そしてハンガリーの国民的音楽家フェレンツ・エルケル(1810-93)が指揮を務めた。1864年になってドレスデンのハインツェ社から出版され、原曲のピアノ版と同様、ビューローに献呈された。またビューローは後に、この曲のピアノ2台用編曲を作成し、出版している。  ビューローは1880年代以降ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者となるが、当時はピアニストとして活躍していた。1857年1月には、《ハンガリー幻想曲》と創作期間がほぼ重なるリストの《ピアノ・ソナタ》ロ短調の公開初演を務めるなど、リストの絶大な信頼を得ていた。  曲はアンダンテ・メスト、4/4拍子、低弦とティンパニがうごめく序奏で始まる。(ピアノ版の《狂詩曲》でこの部分は、「葬送行進曲風に」と記されている。)やがて独奏ピアノのカデンツァを経ると、アレグロ・エロイコ、ホ長調の主部に入る。以降も、即興的な主題、舞曲風の旋律、アッラ・ツィンガレーゼ(ジプシー風に)の旋律などが次々と導入されていく。次第に速度を上げて最終的にはプレスティッシモとなり、オーケストラ、次いでピアノに主部の冒頭主題が力強く現れて幕を閉じる。  「ハンガリー趣味」に満ちたこの華麗な作品は、リストの祖国愛を示すのに極めて効果的な創作となった。初演を聴いたペストの人々は、どんなにか熱狂したことだろう。  編成は次の通り――独奏ピアノ、ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、トランペット、トロンボーン3、ティンパニ、シンバル、トライアングル、大太鼓、弦5部。

執筆者: 上山 典子

楽譜 (0件)

その他特記事項
『ハンガリー狂詩曲』第14番からの編曲作品。