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三善 晃 :音の森 小さなたんけん

Miyoshi, Akira: Forest Echos: The piano pieces for children  A Little Expedition

作品概要

楽曲ID:49524
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:0分45秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (997文字)

更新日:2018年3月12日
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10. 小さなたんけん

この曲の重要なポイントは、正確なリズムと和音によって変化する心理描写を如何に表現するかです。この曲の心理描写としては、楽しさ、期待感、恐怖、驚き、など未知の世界を垣間見る、まさに「探検」や「冒険」の楽しさを表現することです。

この曲はまた、ロマン派のようなルバートは一切使わず、淡々と演奏する曲です。テンポマーキングをご覧下さい。最後にriten,,,しか書いていません。最後だけ少しゆっくり終わる感じですが、あとは割とメトロノームに近い演奏にします。リズムで難しいのは、17-19小節間です。教師の皆様は、学習者が完全にリズムを正確に咀嚼するまで、あらゆる手段を使ってでもからくりを指導して上げて下さい。それだけでその日のレッスンが終わろうとも構いません。大変重要な事です。

コツとしては、かなりゆっくりのテンポで弾かせてみるのですが、付点8分音符は16分音符3つ分という事を認識させるため、編曲をします。例えば17小節目は、メロディーラインだけ抜粋すると、A CE CE になりますが、それをわざと全て16分音符に変換します。即ち: AAACEEECEEEE と弾かせます。勿論これは和音を連打することになりますから速いテンポでは無理です。相当テンポを落としてまずこのAAACEEECEEEE を演奏させます。生徒が慣れてきたら、最初のAAAをすべてタイで繋ぐように言います。次にEEEを全てタイで、次のEEEも全てタイで。この際に決してテンポを上げてはいけません。完全に正確に弾けるようになるまでゆっくりのテンポにして、生徒にからくりを認識させます。

この17-19小節間が難しいもう1つの理由は左右の手の入れ替えにあります。最初はスタッカートは全部外して練習することも1つの方法です。慣れてきて in tempoで弾けるようになったら、今度は16分音符をあたかも「次の付点8分音符の前に付いている装飾音」のように弾きます。つまりは、力は16分音符には殆ど入らず、表拍に書かれてある付点8分音符や4分音符に対して力が入るようにします。

フレーズは4小節単位とお考え下さい。4小節の中でのゴールに向かうようにします。4小節間では果たしてどの小節が最もテンションが高くなるか考えます。勿論いつも同じとは限らず、9-12小節間など1小節目が最も音量が大きくなる4小節間もあります。

執筆者: 大井 和郎

参考動画&オーディション入選(1件)

末田 龍之眞(入選)