バッハ :前奏曲とフーガ フーガ BWV 894

Bach, Johann Sebastian:Praludium und Fuge Fugue

作品概要

楽曲ID:45786
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:4分50秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (666文字)

更新日:2023年10月30日
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演奏のヒントと言うよりは、このフーガの演奏の失敗例を挙げた方がわかりやすいかもしれません。このフーガは153小節もある長いフーガですが、曲中に16分音符が途切れることは殆どありません。あったとしても16分休符1個分とかその程度に過ぎません。つまりは、曲中が16分音符に埋めつくされています。狭いレジスターの中で、これだけの数の16分音符を153小節分も弾くと、まず実に強弱が平坦になりやすくなります。強弱が平坦な上に、ピークポイントらしきピークポイントやカデンツが欠けてしまうと尚更平坦になります。

解決法として2つ重要な課題があります。1つは音質と音量です。音質はppで軽いタッチの音から、fで鋭いタッチの音まで幅広く音質と音量を駆使することです。2つ目は常に方向性を持つことです。このフーガには、和音が連続して出てくる場所があります。例えば、67~73小節間の左手や、101小節目の右手などです。これらの和音も含め、どこかに向かって行くという方向性が無く、ただ単に和音を連打してしまうと、もうそれだけで非常に退屈でメリハリのない音楽になります。

例えば41小節目、4拍目から42小節目3拍目の右手の和音にしろ、42小節目の3拍目に向かってクレシェンドをかけていくと方向性が出てきます。50小節目のシークエンスも下行していても左手はどんどん低い位置に下がってきますので、クレシェンドをかけて52小節目にたどり着くと言った具合です。ほんの一例に過ぎませんが、奏者は常に、方向性を持ち、多彩な音色と音量を使うことで、優れた演奏となります。

執筆者: 大井 和郎
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