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バッハ :前奏曲とフーガ BWV 894 イ短調

Bach, Johann Sebastian:Praludium und Fuge a-moll BWV 894

作品概要

出版年:1843年 
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲とフーガ
総演奏時間:10分30秒

解説 (1)

執筆者 : 朝山 奈津子 (1002文字)

更新日:2007年9月1日
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長大で演奏の難易度が高いヴィルトゥオーゾ・フーガのひとつ。作曲の正確な契機は不明だが、バッハが自身で演奏するために書いた可能性が高い。完成はライプツィヒ時代の1730年代とされるが、原曲はすでにヴァイマル時代の1720年前後に成立していたと思われる。前奏曲、フーガともに協奏風の書法を用いている。

前奏曲で特徴的なのは、完全ないし半終止による区切りと、諸要素の反復である。終止定型がほぼ4小節ごとに現れ、楽節を明確に区切る。各楽節は多くの場合、冒頭のアウフタクトを含む動機、三連符の走句と8分音符の和音から成り、2楽節が一対となる。すなわち、2回目には諸要素が上声と下声を入れ替えたり、組み合わせを変えたりして反復される。これが何を意味するかは、後年の編曲《弦合奏とフルート、ヴァイオリン、チェンバロによる三重協奏曲》(BWV1044)第1楽章において明らかになる。冒頭の動機はトゥッティ部分すなわちリトルネッロ、走句と和音はソロ部分であり、終止定型はソロ楽器の切り替え点、反復は各楽器の役割交代のためなのである。さらに、中間部の両手による華麗な分散和音は、チェンバロの即興部分でもある。ただし、BWV1044はBWV894をそのまま編曲したものではない。この2曲に共通の別の「原曲」が存在した可能性もある。また、編曲がバッハの手によるのかどうか確証は得られていない。しかしそれでも、BWV894にはすでに協奏曲の要素が隠されていたことに違いはない。

こうした書法はフーガにも一貫している。諸要素の反復や組み合わせの変化、声部の交換などはもちろん、全声部が同時に参加する終止定型も随所に見られ、そのせいでフーガというよりもまるで第2の前奏曲のように聞こえる。用いられる対位法技巧はそれほど難しくはないが、各要素の反行形を駆使し、同時上行・同時下行して低音や高音に達し、あるいは両手が近づいたり離れたりして幅広い音域を活用している。この曲は《三重協奏曲》BWV1044で終楽章に編曲された。その際、三連音符はチェンバロのパートにのみ現れ、フルートとヴァイオリンは三連音符の頭の音からなるゆったりした4分の4の動機を与えられている。ここではチェンバロとそれ以外の楽器の極端な対比が前面に出て、対位法楽曲としての元のフーガの姿はすでにほとんど見出せないし、中間にはまったくフーガでないセクションも新たに加えられた。

執筆者: 朝山 奈津子

楽章等 (2)

プレリュード

総演奏時間:6分00秒 

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フーガ

総演奏時間:4分50秒 

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