作品概要
解説 (2)
解説 : 今関 汐里
(151 文字)
更新日:2019年3月7日
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解説 : 今関 汐里 (151 文字)
ヘ長調、6分の8拍子。旋律、内声、バスの3声体である。冒頭右手の順次進行を穏やかな旋律が作品全体の主要モチーフとなる。3小節目以降は、左手の内声が和声の色合いの変化をもたらしている。7、8小節目では、右手旋律と内声の掛け合いがみられる。最後は、長7の和音で締めくくられ、さわやかな響きで締めくくられる。
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(631 文字)
更新日:2025年10月24日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (631 文字)
初夏の爽やかな空気を感じさせるような、明るく透明感のある作品です。右手は、風が軽やかに吹き抜けていくような順次進行の旋律で構成されており、その流れを止めないように、なめらかで柔らかな音色で紡いでいくことが大切です。一方で左手は半音進行によって作られており、そこに書かれたクレッシェンドやディクレッシェンドを自然に表現することで、呼吸を伴った風の動きのようなフレーズ感が生まれます。左手に書かれた強弱によって音楽の緊張と緩和の流れが生み出されています。左手が右手を支えるだけでなく、全体的に主導的な役割を担っていることを意識すると、安定した表現が可能になると思います。
3小節目の4拍目では、左右の手によって作られる不協和音が一瞬の緊張感を生みます。この響きを丁寧に聴き取り、4小節目1拍目で解決された瞬間には、安堵の感覚を味わえるような演奏を目指しましょう。7小節目では左手が語りかけるように始まり、右手がそれに応えるように続きます。
15小節からはクライマックスに向かい、17小節でfに達します。ここでは右手に長く伸ばされた高音のgがあり、その下で左手が豊かに歌う構成になっています。右手の音を支えつつ、左手が雄弁に響きを作っていく場面であり、それぞれの手の役割を明確に捉えながら演奏することで、作品全体の構造がより立体的に伝わります。曲全体を通して、左右の手が担う役割の違いを意識しながら、それぞれの動きや響きが自然にかみ合うように丁寧に紡いでいきたい作品です。
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