作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分00秒
著作権:保護期間中
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:基礎5 応用1 応用2 応用3
楽譜情報:2件解説 (2)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(603 文字)
更新日:2025年4月2日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (603 文字)
欧文タイトルは、《Mission Bells》で、スペイン統治時代のカリフォルニアに点在した伝道所(ミッション)の鐘のことだそうです。辛い歴史を思い起こす人もいるようですが、この曲では美しい響きが表現されており、暗い影を感じることはないように思われます。A-B-A'の三部形式で構成されており、鐘の音の爽やかな広がりが特徴です。
左手のメロディーは、澄んだ鐘の音を思わせるように軽やかかつ力強く響かせることが大切です。打鍵は素早く行い、指を鍵盤に押し込まないようにすると、透明感のある音色が生まれます。右手のアルペジオは左手の鐘の余韻を手伝って、響きが柔らかく広がるように演奏するとよいでしょう。鐘の音は規則正しく響くため、テンポを安定させることが重要です。17小節目からの中間部では、左手もト音記号になり、右手と交差しながら高音域で鐘の音が鳴り響きます。ここでは、きらめく音色を意識しながら、下から上へ腕を持ち上げるようにして打鍵すると、美しい響きを作ることができます。右手は静かにレガートで奏し、そよ風がサワサワと揺れているような優しい流れを感じさせるとよいでしょう。
A'では、Aよりも1オクターブ高い音域で再現され、さらに開放的な響きが広がります。fで奏されるこの部分は、澄み渡る青空のもと、風に乗って鐘の音が響き渡るような爽やかさを感じさせます。音の広がりを意識しながら、響きを大切に演奏しましょう。
演奏のヒント : 大井 和郎
(969 文字)
更新日:2018年3月12日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (969 文字)
12.教会の鐘
鐘にはペダルがありません。例えばラフマニノフの「鐘」を演奏するにしても、鐘にはペダルが無く、ペダルチェンジができない楽器であることを前提にすると、濁って当たり前と考える人もいます。この曲のペダル記号もどちらかというとそちらの傾向にあります。1-2小節間、5-8小節間、などを見るとペダルを踏みっぱなしにする指示があることがわかります。一つの鐘では無く、多くの鐘が一斉に鳴ることを考えると、確かに濁りなどはどうでもよくなるのかも知れません。ペダリングは奏者の主観的な考え方によって変わってきます。絶対にこれが正しいということはありません。奏者の主観に委ねられて然るべきだと思います。
しかしながらBセクション(17-32小節間)は、2小節単位で和音が変わります。2小節単位の最初の和音は最も低い位置にあることがわかります。これはバスの役割をも果たしている音と考えますので、低い位置にある和音は少なくとも、2小節間はペダルで伸ばして下さい。ここのペダルを1小節単位などで変えないようにします。
さてメロディラインですが、本来であれば、メロディラインを明確にして、スムーズにするところなのですが、これは「鐘」です。むしろ、打楽器的に、フレージングなど考えずにアクセントをつけて鐘の効果を出したほうが良いと思います。
Bセクションはそれでも少しpから始まり、29小節目をゴールと定めて、徐々にcrescendoをかけていきます。しかしここで注意することが一つあります。18-19小節間はa-mollのV7(EGisHD)、20-21小節間はa-mollの I (ACE) です。つまりは、V7が I に解決されますので、20-21小節は、18-19小節よりも弱くなります。同じく21-22小節はC-durのV7(GHDF)23-24小節は I (CEG)に解決されます(ここのセクション、厳密にはハーモニックシークエンスになります)。つまり、2小節単位でV-Iが来ますので、後ろ2小節は前2小節よりも小さく弾いてください。
この曲には特別なルバートをかけません。holding back(ゆっくり)や、in time(もとのテンポに)以外、指示が書かれていないところは全てテンポを保ってください。鐘の音がルバートをかけないのと同じことです。
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(株)全音楽譜出版社

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