ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第16番 第3楽章 Op.31-1

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.16  3.Satz Rondo-Allegretto

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:6分30秒
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解説 (1)

解説 : 岡田 安樹浩 (641文字)

更新日:2019年2月16日
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第3楽章 ト長調 2分の2拍子 ロンド

Rondoと記されているが、ソナタ風のロンドである。

多声部書法によるロンド主題(第1~16小節)は、属音の保続音によって特徴づけられている。低声部での主題確保(第16小節~)には8分3連音符の装飾的楽句を伴い、これは続いてあらわれる属調主題の動機となる。

最初のロンド主題回帰(第66小節~)では、伴奏音型が8分3連音符による分散和音よなり、転調を繰り返して発展した後の2度目の回帰(第132小節~)では、主題はオクターヴ化され、伴奏音型は8分3連音符によるオクターヴのトレモロへと変容する。

コーダでは、ロンド主題の動機がAdagioとTempo Primoで交互にあらわれる。やがてPrestoとなり、主音上に属音の長いトリルを伴ってロンド主題の冒頭動機が執拗に反復して楽曲を閉じる。

幻想曲風の中間楽章や、ロンド・ソナタ形式によって拡大されたフィナーレは、Op.27やOp.28から引き継がれた様式であると言って良さそうだが、フィナーレのコーダにおけるテンポの変化はOp31-2(テンペスト・ソナタ)において、一層様式化されてあらわれる。

また、第1楽章における主要主題の長2度下での反復や、主調の長3度上をとる副次主題の調性選択は、Op.53(ワルトシュタイン・ソナタ)をたしかに予感させる。だがこのソナタでは、この特徴的な確保の省略や、ストレートに行かない副次主題の再現など、大いに課題を残しており、まだ実験段階だったということがうかがえる。

執筆者: 岡田 安樹浩