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一柳 慧 :インター・コンツェルト

Ichiyanagi, Toshi:Inter Konzert

作品概要

楽曲ID:4071
作曲年:1987年 
初出版社:Schott
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:12分00秒
著作権:保護期間中
※特記事項:出版:ショット・ミュージック

解説 (2)

解説 : 須藤 英子 (678文字)

更新日:2018年4月24日
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《インター・コンツェルト》は、ピアニスト・ 志村泉の委嘱・初演により1987年に東京にて 発表された、3楽章から成る作品である。 一柳の作風は、アメリカの前衛音楽に影響を 受けた60~70年代から、80年代に入り大きな変化を遂げた。それは、彼が前衛音楽を消化吸収し、「音楽的空間」という独自の概念を打ち立てたことによる。この作品は、まさにその概念が彼自身の作曲語法として確立しつつあった時期に書かれたものである。

1. 予感(約4分)

右手の同型反復(ラ-ミ-ファ♯-シ-レ)が静寂な音空間を形作る中、左手が全く異なる 音空間を自由闊達に紡いでいく。途中、“Più Mosso (violently)” と指示された荒々しい場面が突如現れるが、すぐにもとの同型反復に戻り、静寂な二空間の共存が最後には融合していく。

2. 静寂の彼方へ(Adagio molto sotto voce et  espressivo、約4分半)

同型反復は消え、四段譜に渡る広い音域の中で、淡く静かに様々な音空間が形成されてい く。形を変えながら随所に現れる冒頭の特徴的なフレーズや、時折挿入されるテンポの揺 れを伴った16分音符の音群が、時を醸成するような感覚をもたらす。

3. 運動(Allegro Molt、約3分)

それまでとは打って変わり、音の運動が縦横無尽に繰り広げられる。冒頭の二つのエネル ギッシュなパッセージが流動的に増殖されていく途中、中音域のドローンによる停滞感溢 れる中間部が挟まれる。最後に一瞬、第1楽章の同型反復が姿を現した矢先、劇的に幕が閉じられる。

執筆者: 須藤 英子

About work(s) : 須藤 英子 (1512文字)

更新日:2018年4月24日
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