バッハ :パルティータ 第6番 トッカータ BWV 830

Bach, Johann Sebastian:6 Partiten Nr.6 Toccata

作品概要

楽曲ID:39184
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:組曲
総演奏時間:8分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:展開1 展開2 展開3

楽譜情報:11件
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (837文字)

更新日:2024年1月19日
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色々反論はあるかとは思いますが、このパルティータ6番のトッカータに関しては、筆者個人的な意見を述べさせていただきます。まず「トッカータ」そのものの意味を理解した上で、2/2拍子で書かれている事を考えて欲しいです。2拍を感じて弾かなければならないのです。そしてトッカータの言葉通り、技巧的な部分を見せる演奏で無ければならなく、故にテンポはかなり速いとお考え下さい。

大きく分けて、2つの素材が存在し、1つは、冒頭の即興的なアルペジオの部分、もう1つは、16分音符が1小節に16個並ぶ部分です。冒頭1小節目からは、特にタイミングに縛られる必要は無く、むしろ即興的に演奏するのですが、例えば、3小節目から4小節目いっぱいまでは、アチェルランドをかけて、更に加速しても良い部分です。そして、5小節目でオリジナルの素材が戻ってきたら、冒頭のテンポに戻します。

27小節目からは2つ目の素材が始まりますが、ここからのテンポが重要です。2拍子を感じ、技巧的に、速い演奏が望まれます。そしてこの部分の感情的表現は、サスペンション(掛留音)が連続することで、ある種のプレッシャー、アジテーションがかかります。サスペンションは、27小節目、1拍目から始まり、3拍目で音が上行し、28小節目の1拍目で更に上行します。

感情面を考えたとき、決して冷静な部分ではありません。仮にこのサスペンションを外してみると、E Dis Fis E G FIs と、通常の上行形ですが、サスペンションが加わり、EEDis FisFisE GGFisとなることで、特別な感情を表現している事がわかります。

平均律曲集第2巻、f-mollのプレリュードを参考にしてみて下さい。このプレリュードも2拍子で書かれています。ゆっくりゆっくり弾くのではなく、焦りや、不安、を表現しています。

このトッカータも、頭を切り替えて、既存の多くの演奏に影響されること無く、できる限り速いテンポで進んでみて下さい。がらりと雰囲気は変わってきます。

執筆者: 大井 和郎