バッハの書くh-mollはどのような性格の調であるかは、インベンション、シンフォニア、平均律曲集を思い出してみるとヒントになります。短調でも躍動的で、重くなく、しかしどこか厳かで、他の調のように強いキャラクターではない、等が解ると思います。
このクーラントはしかしながら、感情的な面も持ち合わせていて、半音階的進行などから、多少の悲しみも感じることが出来ます。
奏者は、バッハが書く非和声音を感じ取り、多少でも強調し、その非和声音が、和声音に解決する場所にも注意を払ってください。例えば1小節目、3拍目の右手、Disは非和声音で、2小節目の1拍目、同じく右手のEで解決されますが、1小節目の2拍目裏拍のDから観ると、半音階的進行でD-Dis-Eと上行し、2小節目のEで解決されることがわかります。Eにはアクセントが付かないように注意します。
同じく2小節目3拍目のAisは、h-mollの導音ですので、3小節目の1拍目(現実には主音とコネクトされていませんが)は、pで弾くようにします。
テンポに関しては、これは3/2拍子のクーラントですのでフランススタイルのクーラントと理解し、故に決してテンポは速くはありません。