ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第32番 第2楽章 Op.111

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.32  2.Satz Arietta Adagio molto semplice [e] cantabile

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:18分00秒
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解説 (1)

解説 : 岡田 安樹浩 (678文字)

更新日:2019年2月16日
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第2楽章 ハ長調 16分の9拍子 変奏曲

16小節のアリエッタ主題は、反復記号によって8小節ずつ繰り返され、合計32小節からなる。前半の8小節はハ長調、後半は平行調であるイ短調へ転じる。

第1変奏(第17小節~)では、属音のト音を中心として、音型的な変奏が行われ、第2変奏(第33小節~)では拍子を16分の6拍子へと変化させ、あたかもスイングを思わせるような特徴的なリズムによって変奏が行われる。

第3変奏(第48小節~)は、さらに拍子を32分の12拍子へ変化させ、主題の和声的骨格を分散和音化した変奏が行われる。シンコペーション・リズムや、スフォルツァンド記号によって弱拍が強調されることで、オフ・ビートのジャズ的要素すら感じさせる。そして、これほど細かい音価が緩やかなテンポの音楽において主体となるのは、ほとんど病的といってよいだろう。

第4変奏(第65小節~)では、拍子が16分の9拍子に戻り、主音と属音を中心としたトレモロの上に、主題の和声的骨格が、低音域において和音化されたかたちであらわれた後、高音域で、絶え間ない32分音符による装飾的パッセージを単音や和音で支える変奏へと移行する。トリルの上下に主題の断片があらわれ、同主短調のハ短調へ転じると、これが最終変奏への推移(第120小節~)を形成する。

第5変奏(第131小節~)では、ふたたび主題の音型が、分散和音化された和声の支えのうえにはっきりとあらわれる。そして、コーダ(第160小節~)では、主題が長大なトリルと和音のトレモロにはさまれてあらわれ、最後に主題の冒頭動機を回想しながら楽曲を閉じる。

執筆者: 岡田 安樹浩