ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第29番「ハンマークラヴィーア」 第1楽章 Op.106

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.29 "Hammerklavier" 1.Satz Allegro

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:9分00秒
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解説 (1)

解説 : 岡田 安樹浩 (678文字)

更新日:2019年2月16日
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(第1楽章)変ロ長調 2分の2拍子 ソナタ形式

[提示部]

4オクターヴを超える和音の決然とした動機と、これとは対照的なカンティレーネ風の動機からなる主要主題は、その音域を5オクターヴにまで拡大する。1小節ごとに強奏と弱奏が交差する主題確保、冒頭動機を発展させた推移を経て副次主題は短3度下のト長調で提示される。この主題から次々の楽想が紡ぎだされてゆき、ト長調でもう1つの副次主題が3連音符や長いトリルをともなってあらわれる。この主題からコデッタに接続される。

[展開部+再現部]

コデッタの動機を反復しながら転調して変ホ長調に到達すると、主要主題の動機による4声のフガートが展開される。これが動機を構成するリズム素材(八分音符+四分音符)にまで分解される。

この素材の展開が提示部の推移における音型に接続し、ロ短調で副次主題の素材が展開されるが、すぐに主要主題のリズム動機に行き着く。調性はロ長調となり、この動機の反復が主要主題の再現を導く。

再現部ではフガートで展開された要素と主要主題が対位法的に組み合わせられている。カンティレーネ風の旋律も込み入った対位法的な操作が加えられている。

副次主題はともに主調の変ロ長調で再現される。

[終結部]

提示部におけるコデッタの動機が延長され、まず第2の副次主題、次に第1の副次主題があらわれた後、主要主題の断片が幅広いダイナミクスで反復される。強奏と弱奏のダイナミクス交差は徐々に切迫して1拍単位での交差にまで達すると、消え入るように弱奏へと向かう。

主要主題の動機を断片的に徹底して扱いながら、このソナタ形式楽章は閉じられる。

執筆者: 岡田 安樹浩